前回のお話はこちら

福本      最初にお話が出たのはもう数年前でしたね。

高濱       出版社からのアプローチがなかったら本を書くことなんてできなかったと思います。書くテーマは色々あるんですけど、お金のことだけはなかなか(手が出なかった)。

 

お金の成功者は周りにいっぱいいるんです。でも宝くじに当たっただけみたいな人も結構います。本当にお金について教えてもらえる人でかつ専門家となると、伊井さんは唯一無二ぐらいに見えたんですよね、僕からは。

 

福本 そんな白羽の矢が立った伊井さん、今回、本の監修をした感想をお願いします。

伊井 高濱先生とはもう10年ぐらいのお付き合いになるんですが、強い子を育てる、どんな時代でも食っていける人をつくるということに本当に注力されていて、指導の様子も何度も拝見させていただきました。

実は私も起業するなかで、お金ってやっぱり生きていくためにとても必要でした。それは金額が多いとか少ないとかってことではなくて、お金との向き合い方みたいなことがやっぱりものすごく大事だったんです。

強く生きていくのに必要なお金における自分なりの向き合い方を考えるとき、正解はないんですけれども、それを高濱先生と一緒にやれたらすごくいい伝え方ができると思っていました。

結構前から一緒にできたらいいですねという話はしていたんですが、いよいよ出版社のカンゼンさんからやりませんかという話があって今回出版に至ったということです。

 

福本 今回本を出版するにあたって伊井さんは先生という立場で登場していますが、日本のお金の教育はまだまだ足りていないと感じていらっしゃいますか?

 

伊井 はい。学校で学ぶのは経済の中の金融という位置づけなんですけど、それだと覚えるという感じになります。でもやっぱりそうではないですよね。

このお金の使い方がよかった悪かったというのは、自分で決めることなんですよね。

物を買う・寄付する・投資するっていうのは、全部最後は自分で決めないといけないんです。気づかない間に自分の価値観でのジャッジをしてるんです。なぜこれを買ったのか、なぜ大事にしてるのかっていうところからもう一回考えてみるとそこにいろいろなヒントがあります。そのことを親子で話ができるなら、これはなかなかいいですよね。

家庭の中で「テストで何点取ってきた」じゃなくて、「お、こういう価値判断をするようになってきたんだ」ということになると思うんですね。それを実現するには高濱さんとタッグを組むしかないと。

 

福本       私が前書きを読んでとても印象的だったのが、「お金の使い方は自分の生き方そのもの」という高濱先生の言葉でした。このあたりもう少しお話しいただけますか?

高濱       伊井さんの教えてくれた「消費・投資・貯金・寄付」

これは私も今はもう軸にしてますけど、そういう枠組みすら持ってない。

使ったら使いっばなしっていう状況です。

本来は、自分がジャッジしたことにすごい集中していかなきゃいけないと思うんですよね。

 

高濱       お金って、生きていることのジャッジがすごく明確に現れるところです。
そういうことを親子で意識して今の良い寄付だったね」とか、「良い消費だったね」とか家族で決めていくことができるといいな、と。

そうすればこれからのこどもたちの世代は今とは全然違ってイキイキと生きていけることにつながるんじゃないかなと思います。

 

高濱       時給いくらとか初任給いくらとか待遇がなんちゃらとか、枠組みばっかり言われています。要は評価基準を外から与えられ続けてるっていうことなんです。さっき言ったお金に成功してるような起業家の一群っていうのは、一時期若者の間で起業がブームになったときに起業したんですけど、もう皆おんなじですよ。

「何億円調達!バリュエーション何億っス!」とか。

全部、外付けの価値じゃねぇか、お前の心はどこにあるんだよ!と思ってしまう。

「資金調達したっス!」とか言ってるけど、調達したってことは縛られるってことだよ?と。そういう当たり前のことがわからないまま、ちょっと良さげに見えるものに躍らされてるだけなんです。
「俺は絶対にこれをやり遂げたい」っていう強い想いがあって、「そのために今、人とお金を集めて頑張っています!」ということが感じられれば、よし頑張れよ!となるんだけど、バッジみたいに「バリエーションいくらです」とかやってしまう。5年前くらいからそういうのが始まったんですけど、そこに集中した子たちはもうあんまりうまくいってないですよ。やっぱり想いをしっかり持った子たちでないとね。

4へつづきます

<目次>

最新情報をチェックしよう!