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福本 今回なぜこの本が「親子」にこだわって書かれたのか改めてわかりました。やっぱり家庭の中で小さい時から価値観のすり合わせや価値観を育むことが大事ということですね。
高濱 そうですね、大人自身がそういう教育を受けてきてないんですよ。小さな頃からなんだったら結婚まで枠組みにはまってきて、家を買う時に初めて真剣に自分の事として考えるんです。50、60過ぎてようやくお金ってこういうもんだったんだとわかってくる。
今子育てをしている親子セットで話し合いながら成長するっていうのが一番良い作戦なんじゃないかなと思います。家庭のお金は「これは俺たちのお金だよね」って思いながら取り組めるので学校で学ぶのとは真剣さが違います。
福本 実際、家庭の中でもお金の話をするのはおそらく少ないと思うんですよね。だから本を手に、教材として話を進められたらきっかけが作れますよね。
高濱 はい。その通り!私はお金のことは本当にド素人ですから親子で何ができるかなっていうところだけ。そういう思いで僕のページを作っています。
福本 29のルールが入ったこちらの本なんですけれども、今日はその中から4つのテーマを取り上げておふたりにトークをしてもらおうと思います。
ひとつ目、「お金は社会を循環をしている」。本をお持ちの方23ページをお開きください。ここからは伊井さんと高濱さんを中心に話を進めてもらえたらと思います。これはどういうことなのか解説をお願いできますか。
伊井 もともと金融は、経済の中での血液と言われてます。お金は、良いとか悪いとかではなく、巡っていないといけない。日本経済が平成の30年間デフレで苦しみましたというのは、血液である金融があまりうまくまわっていなくて経済全体が低体温とか低血圧になっていたような状況だと思っています。
ボールペンひとつとってみても親子で会話ができると思っています。「ボールペンを1本300円で買いました」の向こう側に、インク、プラスチック、ゴムなどの素材を作っている人、組み立てる人、配送する人などがいる。販売する人も考えてみると、ものすごく多くの人たちが関わってできている。支払った300円が全ての人に分配されている。ボールペンを買っただけなんだけど、実はこれだけ多くの人にお金が渡っているっていうようなことを例えば親子で話をしてみる。
僕も小さい頃、ボールペンのインクがまだ残っているのに捨ててしまったこともあったと思うんですけども、これだけ多くの人が関わってできたものを粗末に扱っていいのかという話もありますね。単にもったいないという話ではなくて、これだけ多くの人たちが関わっていることをイメージして、そのお金が社会に循環していることを考えてみると、世の中の想いや成り立ちが感じられるんじゃないかなと。
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