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福本 お父さんお母さんが働く会社で作っているものや、生み出しているサービスを起点に話をしてもいいかもしれませんね。あと、「お金持ちのイメージは良い?悪い?と聞いてみて」とルールブックに書いてありましたね。
伊井 コモンズの子どもたちのワークショップでよく質問するんですけれども、「お金持ちのイメージが良いというひと、手あげて」と聞くとほぼゼロです。「じゃあ悪いと思う人」と聞くと、手が挙がるんですよね。
福本 最近ちょっと変わってきてはいるんですけれど、たしかに悪いが多い時期もありましたね。
伊井 そうですね。我が家もたぶんそうだったんだろうと思いますけど、金持ちが悪いなんてことは誰からも教わっていないんです。子ども達って本当にすごく空気を読んでいます。メディアや親の愚痴を通して、「たまたま儲けたんじゃないのか。悪いことをして儲けたから捕まった」みたいな事を敏感に聞いているんですね。
先ほどのお金持ちのイメージの質問の続きは、こうです。
子ども達に「夏休みとか家でお手伝いすることない?」と言うと、多くの子がお手伝いしたことあると手を挙げるんですよね。 じゃあお父さんの肩を叩いたりしたらお小遣いもらえない?と聞くと、お手伝いしたらお小遣いをちょっともらえるという子も多いわけです。
そのときお父さんお母さんからありがとうと言われない?と聞くと、やっぱり「ありがとう」と言われているんですよね。 「そうすると、ありがとうといっぱい言ってもらっている人というのはお金持ちになるんじゃないの?」と聞き返すと、子供たちは「ん?うん。そうだね。」という風になってきます。
そこでもう一回お金持ちのイメージ良いか悪いかと聞くと、圧倒的にお金持ちのイメージが良くなっていくんですよね。 社会にお金を循環させるというところに関わってくるんですけども、ありがとうの数だけ実はお金が増えていく。
例えば意外に子どもたちって親がどんな仕事をしているのか知らないんですよ。家庭で仕事の話をしないというところも多いと思うんですけど。 みんなお小遣いもらってるでしょう、なんか買ってもらってるでしょう、ということはお父さんお母さんが世の中からたくさんありがとうと言ってもらってるということをもう一回親子で話してみようということから、テーマに取り上げました。
福本 高濱先生からはありがとうにも差があるんじゃないかという解説がありましたね。
高濱 まず今の伊井さんの話に納得ですよね。次に子ども達に気づいてほしいのは、肩たたきは頑張っても50円100円だけれども、お医者さんは座ってちょっと診たら何千、何万円になってるって事です。これをただの既得権というならそれだけなんですけど、なんでそうなのと考えると、専門性や希少性があってこの人たちしかできないことをやった時には価値を帯びるんだということになる。
そうしたらひとつの方針としてなにかの専門家になろうとか、なにかを極めるといい暮らしができるとか、同じ時間を費やすのでもたくさんのありがとうをもらえるんだなということを考える。子どもたちをどう育てるかって大事じゃないですか。
お母さんたちは、「安定してるから医者になりなさい」と言ったりする。もちろんいいんですよ、それも価値観だから。でも、今みたいなことを知っていると次の時代は何が専門的で誰もやってないところはどこかと考えて社会を見ることができる。そうすると面白い人がいっぱい出てくると思うんですよね。
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