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福本       ちなみにあのー、高濱先生自身はありがとうがお金になるんだっていうことに気づいたっていうかそれを実感したのっていつ頃ですか?

 

高濱       伊井さんの話聞くまではまだ整理されていませんでした。

 

福本       ただ潜在的にそれは気づいていたわけですよね

 

高濱       もちろんまあ何となく分かってましたけれども、この本でインタビューする中で心から納得しました。

 

福本       伊井さんはどうですか?子供の時に実感してました?

 

伊井       いや実感はしてないですね。ただ、お手伝いしたらお金もらえることは意識してた様な気がしますね。

福本       お手伝いの先にありがとうがあって、ありがとうがお金に変わるってことを親が上手に言えるといいですよね。私もつい、これやってくれたらいくらあげるからさって言っちゃうんですよ。良くないですね。

 

高濱       大変な苦労に対して支払っている物みたいになると、お金もらうときは苦しまなきゃいけないという誤った概念を持ちそうです。「今のはしてくれたこれに対してだよ」という様に、良い笑顔でもらえると良いですね。

 

福本       ありがとうを伝えてから、おかげでちょっと楽できたからお小遣いあげようかな、だと良さそうですね。次はお小遣いの話題なんですけれども、お小遣い帳をつけて計画性を身につけさせるというのがルール7にありました。これについては伊井さん、どんな風にお子さんと会話していくといいですか?

 

伊井       これは僕はあんまりなかったんですが、高濱さんと直接お話しをしていたら、ご両親から「子供にお小遣い帳をつけさせたほうがいいか」とか、あるいは「お小遣いを月額制にしたほうがいいのか、頑張ったら渡すとかみたいにした方がいいのか」っていう質問をよく受けるそうです。毎日親子がバタバタしてて、お金は社会で循環するってことを教えられていない。でもお小遣い帳つけてみると、これなんで買ったのとか、なんでこういう風に使ったのというやり取りができるんじゃないかなと思って書きました。

 

福本       この2番、結構難しいと思ったんですよね。お手伝いしたらお小遣いもらえる。お小遣いがもらえないお手伝いはやりたくない。これ子供に聞いて子供が答えられるのかなとちょっと不安なんですけど。

 

伊井       ありがとうって言ってもらってお小遣いがもらえないのは、なんとなく子供からすると寂しいかもしれません。高濱先生は心の貯金みたいな言い方をされていたので、この辺の話を是非伺ってみたいです。

 

高濱       教育を長年やってると、お手伝いに対してお金を払うことは良いか悪いかっていう議論は繰り返しあって、東大の先生は勉強しない子に「頑張ったらお小遣いあげるよ」というような外的な誘い方はあんまり良くないっておっしゃってたんです。悪いってわけじゃなくて、データ取ってみるとあんまりいい伸びになってなくて、例えば算数とかに本当に関心を持ってやった子だけは伸びているっていうのが分かったんです。お金で釣るのは基本的によくないという結果だったんですよね。

でも誰とは言わないですけど、お子さんがものすごい学歴を達成したお母さんが、小学校の時に平気でやってました。だからこういう教育のデータエビデンスってなんかね怪しいんですよね。怪しいって言ったら怒られるけど、マクロの政策決定では正しくてもわが子にはぴったりかっていうのは本当に常にわかんなくって、お小遣いあげた方が伸びましたっていう人も確かにいるし、一つの正解はないんですよね。ただ、お金について考えさせるという大きな目的を持って、お小遣いを「ありがとうの分なんだよ」「こうやってお金が回るんだね」って言いながらあげるのは意味があると思います

7へつづきます

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