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福本 ある意味、こどもにお金を使わせてみて、その後にしっかりと対話をするということのほうが大事なのかもしれませんね。
高濱 そうですね、とにかく対話がキーワードだと思います。いろんな商品って良さそうに見えるじゃないですか。買ったあと、これ使わなかったねとネタにしちゃえばいいんですよ。例えばうちには乗馬の機械とかあるんです。「使わないと思うよ?」と言いましたが、「すごく体幹にいいんだよ」と言って買いました。もちろん、ちゃんと使える人は使ってるんでしょうけど、うちでは一回ぐらいですよ使ったの。すんごい存在感のある置き物になっています。うちには要らなかった。パーッとその気になって買って失敗ということはよくあるじゃないですか。それは、もうこういう物は買ってはいけないという学びにしていけば良いということですね。
福本 親の失敗も話した方がいいですよね。こどもの失敗の話ばかりしていますけど。
高濱 すごくいいですね。 こどもたちは聞きますよ、そういうのが大好きですよ。「学生の頃これで大失敗してさ~」とかというと、キラーンと目を輝かせて聞きます。
福本 お母さんどうしてまたそれ買ったの?って。
高濱 同じの持ってるじゃん!みたいな。
福本 ・・・そうですね。 次が最後のテーマで、お金の使い方なんですけれども、消費・貯蓄・投資・寄付の4つがありますよという風にご紹介してます。伊井さん、この問いはどういう風にお子さんとやっていくといいですか。
伊井 はい、これはこどもたちに例えば、「お年玉を全部で1万円もらいました。この1万円をどういうふうに分けますか」「使う・貯める・ふやす・寄付をするの4つにいくらずつ分ける?」とこどもたちと話をしますと、貯めるが圧倒的に多いんですよね。
使うが少しあって、ふやす(具体的には投資ということなんですけれど)や、寄付するにはあんまり配分しないですね。
なんで貯めるのと聞くと、こどもたちが「将来不安だから」みたいな事を言うんですよ。なんでなのかわからないんですけど。使うは今欲しい物にすぐ使う、貯めるは今の小遣いだけだと高くてすぐには買えないけど本当に欲しいものはゲーム機でも服でも何でも、貯めないといけない。
ふやすとはどういう事かを説明する時には、「1本のボールペンでも多くの人が関わってますよ。自分の大好きな会社を応援しようよ」という話をするんですね。男の子たちはゲーム会社が圧倒的に多いんですけれども、女の子たちはまた違うところ応援したいと言います。その会社の株式に投資をすることによってお金がふえていくことを話します。
お金がなくて何か発明するってなかなかありませんので、誰かが「それ面白いね。応援するから頑張って発明してみて」と言って初めてできるという話もします。
寄付のところは、例えばこどもたちも東日本大震災とか大きな災害を見ると大変だということはわかるわけですね。「大変だよね、何かお手伝いできないかな」とみんな言うんですけれども、「じゃあ明日から学校一週間休んでみんなで行こう」と言うと、「すみません、1週間は休めません」という話になるんです。その時に、「じゃあボランティアの人たちに寄付をして代わりに行ってもらうという事ができるよね!」と言います。
犬や猫の殺処分の話でも、こどもたちは殺処分がダメだというのはみんな分かってるんですが、「じゃあ太郎くんの家は明日から犬を30匹飼ってね」というと、「すみません、うちはできません」と返ってきます。「殺処分を無くす為に活動しているこういう人たちがいるよ。そこに寄付すると無くなるよ」という話をすると、こどもたちはガラッと変わっていきます。
そういった話をひと通りした後にもうもう一回4つの配分を聞くと、貯めるからふやすあるいは寄付をするといったところに変わっていきます。その変化が大人よりも顕著に現れますから、今日ずっとお話しをしてきた「価値を考えてみよう」あるいは「社会にお金を循環しよう」ということを親子で対話するというのが大事だと思います。
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