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福本「こども」というのが、花まる学習会とコモンズ投信の共通項ということですね。では、2月に出版された「こどもお金ルール」を出版するに至った経緯を高濱先生にお伺いしていきたいと思います。

高濱 止めてくださいね、私はしゃべり出すとホントに止まらなくなる癖があるので(笑)。
もともと「メシが食える」ということをずっと考えてるんですけど、食えたとしても、ちっとも幸せじゃない大人もまあまあいるんです。僕は人が幸せか不幸せかという事だけをずっと眺めたり聞いたりして生きてきて、「これだな」って分かってきました。
自分の心をしっかり見たうえで仕事とか進学先を選ぶならいいんだけど、親子ともども社会の枠組みに踊らされている。「向こうの方が偏差値いくつらしい」とか「これこれは年収いくらの仕事」みたいないろいろな数値情報になりやすいものをバンバン見させられて。「で、あなたは幸せなの?」って聞かれても自信のない人がいっぱいいる。
幸せになるには、本当にシンプルに、ちゃんと哲学を持ったうえで自分の心を見るだけ「幸せは自分の心が決める」とはよく言ったものです。

たとえば、僕の例で言うと、3浪4留、29歳まで大学生だった理由は、アホらしくてやってられなかったから。
「なんで就活とかしないといけねぇんだよ」「俺は別に熊本に帰れば木の実もなってるし、鳥だって捕まえられるし、魚釣りで生きていけるんスけど」みたいな考えでした。
よく言うじゃないですか、「超大金持ちになったら何したいですか」って。その質問に対して「南の島でのんびり」とか。
「いや、今すぐできますけど、そんなの。」って。

でも本当にそれが幸せなのか?というのを、僕は20代の1年間ちゃんと哲学だけをした時に考えて、やっぱりそれってつまらないと思ったんです。やっぱり幸せを追求すると、自分が働きかけたことで相手が嬉しそうだとかありがとうって言ってくれる事に結局必ず全員が行き着く。だとするならば「何しようかな、やっぱ医者になろうかな」とか考えて、ならこの高校・大学に行かないとなれないんであれば、よし頑張ろう!という選び方がいい。

なのに、「あなた、あと偏差値が5上がれば医学部にいけるわよ」みたいな、 偏差値表ありきというかランキング表ありき的な選び方をみんながさせられている時代だと思うんですよね。それで3、40歳になって一流企業に入っているはずなのに、「なんかちょっと虚しい」みたいな人が転職したいと言う。「何したいんですか」って言ったら、「特にやりたいことが見つかりません」と言う。もう何してたの、今までの人生?って話じゃないですか。やりたいことが見つからない人が多すぎる問題は、そういう哲学なきみたいなことが一番の核心だと思っているんです。その時にお金ってキーワードが何度も出てくるんですよね。会社を興してこうやれば君の若さだったら本当にどんどん実現できるというのに、時給を少しでも高くすることばっかり見させられて生きていると、起業することが思いつきもしない。お金のことをちゃんと学んでなくて、人生もったいないことをしてる人をいっぱい見てきました。

とはいえ僕の方こそ、熊本の人吉の家で、まさにおやじが「金のことばっかり言うな」って言うんです。インベスターZ(投資がテーマの漫画)のお父さんそのものですよ。「金の世の中なんて汚ねえ」みたいな、まあ言ったら体制に都合の良い庶民の家としてひたすら働く人生で、ちゃんとお金のことを習ったことがなかったです。学校の先生もお金のことを知らないこの国でお金のことちゃんと学べるようにしなきゃってずっと思ってました。

ところが自分自身もそういうのに疎いそれこそ極致の人間でもあったので、伊井さんを見つけたときに、「この人にちょっとなんか教えてもらえないかな」なんて思っていたんです。そしたらすごい人格者で、いろいろ教えてもらえました。お仲間になれて、そろそろいいかなと思い、本でも書きませんかというお近づきをして、こういう本になりました。

へつづきます

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