コロナ禍がもたらした社会の大きな“変化”の一つにオンライン教育の進展があります。
ICT教育(情報通信技術を活用した教育手法)の推進が将来の国の競争力の土台となるのは明白です。
2019年12月には、文部科学省がGIGAスクール構想(=児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想)を打ち出しました。
そしてコロナ禍により学校の休校が余儀なくされると、その動きは加速しました。
今回は原嶋さんにオンライン教育とザ・2020ビジョンの投資先すららネットについて聞きました!

解説 運用部アナリスト 原嶋 亮介
聞き手 マーケティング部 福本 美帆

原嶋 GIGAスクール構想ってはじめて閣議決定されたのが昨年の12月ごろだったのですが、ものすごく重要で影響の大きな話なのに、さらにはコロナで今年4月に大幅な前倒しの発表があったのに、全然メディアに注目されてなくておかしいと思っていたんです。

福本 私も今回注目されるまで、ほとんどノーマークでした(汗)

原嶋 文科省のこの動画、長いんですけど、冒頭少しご覧いただくだけでも「本気度が伝わる」を通り越して、スピーカーの圧に驚きます。腰の重い自治体や教育委員会に苛立っているのが伝わってきます。
※ページ下部にリンクがありますのでご興味あればぜひご覧ください

原嶋 GIGAスクール構想では、今年度(令和2年度)中に1人1台端末の整備を求めていますので、「必ず対応してくださいよ」という強い要請の表れだと思います。
GIGAスクール構想、コロナ禍によるオンライン教育の急速な広まり、そんな流れもあって、このタイミングで、すららネットとのセミナーが実現し、皆さんに湯野川社長のお話を届けることができてよかったです。
ザ・2020ビジョンの投資先である「すららネット」は、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、アダプティブな対話式 ICT 教材「すらら」を、国内約 1,400 校の塾、学校等に提供しています。
全国の有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど日本の教育課題の解決を図ることで成長を続けています。

「すららネット」は2017年に東証マザーズに上場しましたが、我々は上場するタイミングからザ・2020ビジョンで投資を続けてきました。株価は上場からの約3年で10倍以上今年に入ってからは約7倍と(11月4日時点)コロナ禍で成長のスピードが加速しています。この株価の上昇は、社会からの期待の高さを示していると考えています。

ザ・2020ビジョン投資先 「すららネット」湯野川社長をお招きして
【セミナー動画】

 

【対談記事】

教育機会格差を無くし社会の生産性向上に寄与する~すららネット~

福本 投資という観点では、このGIGAスクール構想はどのように株式市場に影響してくるのでしょうか?

原嶋 オンライン教育事業は
通信…ネットワーク業者
端末…OS&ハード業者
コンテンツ…ソフト業者
という各カテゴリーに分解できて、それぞれ所属する企業に注目が集まっています。

福本 その中で、すららネットが注目されているのはなぜですか?

原嶋 すららネットはこの領域で老舗ですし、低学力児童を取り残さないというような学校教育において導入しやすいサービス内容、コンテンツという点で優位性を持っています。
同社は創業からこれまでに大変な苦境もあったのですが、それでも地道に低学力の児童の学力アップに取り組んできたのが土台となってここにきて強さにつながっていると思います。
すららのターゲットは偏差値でいえば55くらいまでで、それより上の層に対するサービスは世の中にたくさんあって、すでにレッドオーシャンなんですね。そういうこどもたちに対する教育サービスは対価も高くなります。逆に、すららがターゲットにしているようなボリュームゾーンである平均層を含む偏差値55くらいまではブルーオーシャンと言えます。
家庭の経済力とこどもの学力の相関が指摘されているように、一定よりも下位の層は教育にかけるお金も少なくなる傾向があります。
そこを地道にやっていくということの難しいチャレンジに長年取り組んでいることの想いの強さには敬服します。

福本 すららネットの競合にはどんなところがあるんですか?

原嶋 リクルートのスタディサプリなどがあげられますが、投資という観点では、このオンライン教育やオンライン診療もそうなのですが、良くも悪くもいわゆるテーマ性が強くてすでに株価は上がり切っている感じがします。(ので、いまからこのテーマで注目されるような銘柄の組み入れはなかなか難しいと思います・・・)

福本 オンライン教育も、いくらデジタルネイティブ世代とはいえ、こどもたちに端末とインターネット環境を与えれば自動的に進むわけでもなくて、それらをつなぐ人と場所、つまり、学校や先生たちへのサポートも不可欠ですよね

原嶋 先生の役割も大きく変わらざるを得ないし、そのためのサポートも必要です。なのでEdTech(エドテック)導入補助金には、先生たちがそのサービスを試すというような使い方も含まれているんです。
すららはコンテンツの差別化、先生にとっての使いやすさ、先生へのサポートなど学校教育の現場に寄り添ったサービスを提供しているところがユニークです。

福本 だんだんすららの強さの秘密がわかってきました!

原嶋 あと、もうひとつ、私にとってとても重要なポイントになってくるのが、社会にどういうインパクト影響を与えたいのか、創業者がなぜその事業をはじめたのかに、共感・納得できるということです。

同社の事業をはじめるにあたっての原体験(「はじめて英語が楽しいと思えた」と言った少女のエピソード)、など日本のこどもたちの教育格差は(見えないところで実はとても)深刻であるという認識、そして、それを何とかしたいという想い私自身強く共感しています。

福本 勉強がおもしろくないと感じているほかのこどもにもあんな体験が提供できたらすばらしいですよね。

原嶋 もちろん、ファンドですから運用成績が重要なのは言わずもがなですので、企業理念や創業者の想いだけではなく事業の成長性や変化に対応できているかなどはシビアに見ますが、日本の未来によい変化をもたらすであろう企業、自分たちの価値観に合う企業に投資したいという気持ちがあります。

福本 私もザ・2020ビジョンがそういうファンドであってほしいです。ありがとうございました!

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。

 

本文で原嶋が紹介していた動画はこちら。
2020年5月11日 学校の情報環境整備に関する説明会【LIVE配信】

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