こんにちは。コモンズ投信マーケティング部の山本です。
「正しいことをやろうと思った時に、正しいことをやらせてもらえる場所と、そして信じていい大人たちがいる場所。それが社会の中に必要だと思ったので、学校を作りました。」
2026年8月5日、沖縄県八重瀬町で開催された講演会でそう語ったのは、第1回コモンズ社会起業家フォーラムの登壇者であり、第3回コモンズSEEDCapの応援先、認定NPO法人 侍学園スクオーラ・今人の理事長、長岡秀貴さんです。
沖縄県八重瀬町には侍学園の沖縄校があり、今年で開設から10周年を迎えます。
▼第1回コモンズ社会起業家フォーラム動画URL(長岡秀貴さん)
https://youtu.be/VKgOtsL6smI?si=klHKVjNmYOnefQar
長岡さんは講演で、「フリースクールという言葉は使っていません。」「不登校やひきこもりのこどもたちのための学校とも言っていません。」と語りました。
その背景にあるのは、「不登校」という状態だけで、その人を「異質な存在」や「支えられる側」と決めつけてしまうことへの違和感です。
長岡さんが目指しているのは、誰かを「元に戻す」ことではなく、昨日より今日、今日よりその先の未来へと、本人が少しずつ幸せに向かって歩んでいく人生に伴走できる場所をつくることなのだと、わたしは感じました。

■「何を言うか」より、「誰が言うか」
講演では、二人一組になり、一人が後ろ向きに倒れ、もう一人が受け止める体験がありました。
最初は、すぐ後ろで受け止めてもらう。
次は、支える人が少し距離を取る。
受け止めてもらえると分かっていても、後ろ向きに身体を預けるのは怖い。距離が離れれば、なおさらです。
誰かに相談することも、同じなのだと長岡さんは言います。
まして、人に話したくないことを打ち明けるには、相手を信じ、自分を預けなければなりません。
だから支援で最初に必要なのは、「正しい答え」を伝えることではない。
「この人なら大丈夫」と思ってもらうこと。
長岡さんは、こう語ります。
「何を言うかではなくて、『誰か』にならなきゃいけない。」
支援の方法や知識は、調べればいくらでも見つかります。
けれど、その言葉が届くかどうかは、「誰が言うか」で変わる。
この人になら話してみたい。
この人になら頼ってもいい。
その関係をつくることから、支援は始まります。

■社会に、小さな「ゲート」を増やす
苦しくなったとき、わたしたちはどこへ行けばいいのでしょうか。
相談窓口や病院などの専門機関は大切です。
でも、そこへ行くことさえ難しい人もいます。
だから長岡さんは、もっと手前にある、社会との小さな接点を増やそうとしてきました。
それを、社会の「ゲート」と呼びます。
小児科でもいい。
美容院でもいい。
飲食店でも、映画館でもいい。
「ここなら行ける」
「この人になら話せる」
そんな場所が社会の中にたくさんあれば、誰かとつながるきっかけが生まれます。
そしてわたしは、長岡さんの話を聞きながら、「ゲート」になれるのは場所だけではないのではないかと感じました。
わたしもまた、誰かにとってのゲートになれる。
話を聞く。
一緒に考える。
決めつけない。
何かを「してあげる」のではなく、その人の中にある力を信じる。
長岡さんの言葉に触れながら、そんなことを考えました。
わたしたちは、誰かにとっての「信じてもいい人」になれているだろうか。
この問いは、支援に携わる人だけのものではありません。
社会の中で誰かと関わりながら生きる、わたしたち一人ひとりに向けられているように思います。

◆認定NPO法人 侍学園スクオーラ・今人 理事長 長岡秀貴さん
社会で生きづらさを抱える若者やこどもたちに、学校形式で包括的な自立支援を行う。長野・沖縄を拠点に、「共育」の理念のもと、生きる力を育んでいる。
▼公式サイト
https://samugaku.com/