2024/1/17(水)、コモンズ30ファンド投資先企業味の素㈱をお迎えし、統合レポートワークショップを開催しました。

味の素㈱には、2013年に投資を開始しその期間は10年以上となります。
近年は最高益を連続で更新、株価も投資期間だけで3倍以上になるなど「価値」を高め続けています。

その味の素㈱ですが、近年「ASV経営」を標榜しています。
ASVとは、「Ajinomoto Group Creating Shared Value」を略した言葉で、 CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)に由来しており、自社の売上や利益を追求するだけでなく、事業を通じて社会が抱える課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。

経済価値と社会価値の2つをともにつくる取り組みがASVであり、ASVを進化させていくことが、味の素グループのビジョンの実現につながるとの考えからです。「ASVレポート(統合報告書)」には、ASVとビジョンとの関係性をわかりやすく紹介しており、ASV経営を進化させることで実現する具体的なアウトカム(成果)も提示しています。そのASVレポートを作成したご担当者をお招きし、作成の工夫や苦労をお伺いしたうえで、参加者同士のディスカッションをフィードバックするのが、本イベントの目的です。

コモンズ30塾統合レポートワークショップには2022年11月に続いての登壇となり、今回のASVレポート2023には、その際のワークショップでのフィードバックを複数取り入れてくださったとのこと。
具体的にはグローバル企業なのに報告書に出てくるのが日本拠点や日本人ばかり、といった指摘から今回は様々な国・地域の取組やメンバーを登場させた、などです。

■味の素㈱ASVレポート2023はこちら

当日は、グローバルコミュニケーション部レポーティンググループ長の伊沢千春さまと、同レポーティンググループマネージャー岡田佐保さまにご登壇いただき、レポートのポイントから作成に当たっての苦労話までじっくりお話を伺いました。

味の素㈱グローバルコミュニケーション部レポーティンググループマネージャー 岡田佐保さま

味の素㈱さまのプレゼンとトークセッションの様子はこちらからご覧いただけます
https://youtu.be/CvdNn6-vbk8?si=4E6lGl09rquSvEIG

お話しいただいたASVレポート2023の編集ポイントをいくつか挙げさせていただくと、、、

・会社が言いたいことではなく、読者が知りたいことに重点を置く
・カフェで気軽に読めるような、とっつきやすさ・読みやすさを重視
・味の素㈱の強みである「アミノサイエンス®」とは何かをしっかり伝えること

などを意識されたそうです。

さらにその中でとても印象的だったのが、「アミノサイエンス®」について、社内で大論争が巻き起こった、というお話です。
味の素㈱は、2022年、パーパスを「アミノサイエンス®で人・社会・地域のWell-beingに貢献する」に変更しました。
アミノサイエンス®を通じて、ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT(半導体の進化とスマート社会への貢献)、グリーンという4つの領域で様々な社会課題を解決していくとしています。

では、そのアミノサイエンス®とは何なのかーー

レポートの作成を通じて、幅広い部署の社員に「アミノサイエンス®」とは何なのかについてヒアリングを重ねられたそうです。
すると、どの社員に聞いてもアミノ酸が大好きで、アミノ酸に関して世界一の研究ができているということを誇りに思っており、かつ、アミノサイエンス®研究を通じて世界に貢献している、という自負がある、ということが見えてきたそうです。

その一方で、社員の年代や携わってきた領域の違いによって、社員の中でも何をもってアミノサイエンス®というのか、について解釈が異なるということも顕在化。

その結果、まとめるのに議論が紛糾してしまい、作成が数週間止まってしまうということも経験されたそうです。

さて、当日は、統合レポートを使った参加者同士のグループワークも行われました。
そこでは、味の素㈱の社員の皆さまにも加わっていただいて活発に意見交換がなされました。

 

各グループからのフィードバックとして

・こうしたレポートの専門業者ではない雑誌社に編集を依頼されたチャレンジが素晴らしい。
・社長メッセージが、本人のことばで書かれていることがしっかり伝わってくる。
・無形資産について説明しているパートでは、海外も日本と同じ志で取り組みしていることがよくわかりました。
・色使いが綺麗で、カフェで読むというコンセプトは実現できていると思います。
・企業の魅力や方向性が非常に伝わりやすい内容だと思います。IRツールとしてどのように使用されているのか、もう少し伺いたかったです。

といった声のほか、こうした意見も寄せられました。
・意味のわからないことも多くあった。それは自分自身のマインドが労働者で、経営者や投資家の視点を持っていないからと思った。

最後に、本イベントを通じて、伊沢さまがこんな感想をおっしゃっられていました。
「レポートは、様々な意見をいただくツールの一つである」と。

社内での「アミノサイエンス®」についての議論も、レポートの作成がきっかけとして社内の対話に繋がった事例であり、このコモンズ30塾も、受益者のみなさまと投資先企業さまをつなぐ”対話のツール”だと考えています。

ご協力いただきました味の素㈱さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。


味の素㈱さまのプレゼンとトークセッションの様子はこちらからご覧いただけます。

 

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