丸紅株式会社との対話ー統合報告書2024に込めた想い

丸紅株式会社は、コモンズ投信が「コモンズ30ファンド」を通じて、2012年から投資している会社です。
商社という業種は、グローバル展開力、情報力、人財力を裏付けにして時代を先取りし、ビジネス形態を変えながら、企業価値を中長期的に極大化できるというのが、コモンズ投信としての見立てです。コモンズ投信は、大手総合商社の一角である丸紅株式会社に、「コモンズ30ファンド」を通じて、2012年から投資し続けています。
2024年9月、その丸紅株式会社が、「統合報告書2024」を発刊しました。今回の統合報告書はどのような特徴を持っているのか、その制作に込めた想いとは…?2025年1月9日、丸紅株式会社のご担当者さまをお招きして統合レポートワークショップを開催した様子をお伝えします。

統合報告書2024のポイント

丸紅株式会社IR・SR部/部長 石田哲也氏

丸紅グループは「稼ぐ力の継続強化」、「ROEの維持・向上」、「株主資本コストの低減」を軸に、中長期的な企業価値の向上を目指しています。2024年版の統合報告書は、それらを軸にした構成を試みました。
私どもは毎年、統合報告書を作成した後、読者の方々からのフィードバックを頂戴しています。それを基に、次年度の統合報告書を作成する際には更なる改善に努めています。前回、2023年版を出した時には、コンテンツや内容面において、「ややまとまりがない」、「丸紅単体目線での記述が多い」というご指摘を受けたため、これらの課題に対して3つの工夫を凝らしました。それは、①コンテンツのブラッシュアップとして、丸紅らしさ、グループの全体感を伝えるための特集企画、②可読性の更なる向上として、フォントや色の統一をできる限り行い、読みやすさの向上に努める、③対話の強化として、説明会を実施することで、理解深化に役立つことが出来るようにする、です。

全体の構成ですが、巻頭で「丸紅グループの価値観」を示し、次に代表取締役社長である柿木真澄のCEOメッセージとして、丸紅グループの価値観、言うなれば当社グループが中長期的に目指すものの達成に向けて、この2~3年という時間軸のなかで、どのような取組みをするのかについて述べています。

そのうえで本編に入るわけですが、読みどころはSection1の「企業価値の向上」、Section 2の「稼ぐ力の継続強化」と「ROEの維持・向上」、そしてSection 3の「株主資本コストの低減」です。

Section 1の「企業価値の向上」では、「非資源分野の収益基盤」「米国における競争力」という2つの軸で、丸紅の特徴や他社との違いを説明しています。

Section 2の「稼ぐ力の継続強化」と「ROEの維持・向上」では、我々が考える成長投資の在り方を説明しています。闇雲に投資するのではなく、過去からの反省や教訓を踏まえて、規律あるものにするのが、丸紅の稼ぐ力を強化させ、かつROEの向上にもつながるものと考えています。また、Section 2には3つの特集記事を設けました。特集1は「継続的な成長投資」をテーマにして、丸紅が投資している米農業資材リテーラーであるHelena Agri-Enterprises社、航空機(中古機)リースのリーディング企業であるAircastle社、そして全米3位の規模を持つ中古車販売金融会社であるNowlake Technology社について、各社の経営者が競争優位性や今後の成長戦略について語っています。
特集2は人財戦略をテーマにして、弊社常務執行役員CHRO(Chief Human Resources Officer)の鹿島浩二と、弊社社外取締役の翁百合氏による対談を行っています。
そして特集3はDX戦略をテーマにして、弊社常務執行役員CDIO(Chief Digital Innovation Officer)の大本晶之と、SmartestEnergy社CEOのRobert Groves氏による対談を掲載しています。ちなみに、丸紅グループの企業で収益を上げている事業会社は、DX戦略がしっかり据えられています。そして、その一例がSmartestEnergy社なのです。
Section 3は「株主資本コストの低減」です。リスクマネジメントやサスティナビリティ、コーポレート・ガバナンスについて説明していますが、なかでもコーポレート・ガバナンスについては、近年、ステークホルダーから、社外取締役が会社をどう見ているのか、についての関心度が高いこともあるので、バックグラウンドが異なる2人の社外取締役に登場していただきました。木寺昌人氏には報酬委員会委員としての立場から、2023年度に改定した役員報酬制度の振り返りを、そして波多野睦子氏には、社外取締役に就任していただくにあたり、弊社の業務内容について理解を深めていただくための、事前のトレーニングや情報提供制度に対する評価を語ってもらいました。

次のページ:<対談>統合報告書2024の行間を読み解く

本セミナーのアーカイブ動画はこちら

最新情報をチェックしよう!