先にあった投資行動について、もう一度みてみましょう。

そこでいう若者はいわゆるデジタルネイティブで、インターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた世代
デジタルトランスフォーメーション(DX)などのテーマ株はすんなり入っていけるはずです。
しかも株価が上がって投資収益が増えていけば、他に良いものはないかと物色意欲も旺盛になって、さらなる物色対象を探すというような投資行動にもなるのでしょう。

一方で、高齢層は平成バブルにどっぷりと浸かって、その後の株価下落に、「株はもう懲り懲りだ」と思った世代
「DX」と言われてもさて、これってなに? 「5G」とか「EV」とかアルファベットが並ぶテーマ株にもなかなか馴染めず、よくわからないものには手を出さず。とりあえず持っている株は売っておこうという投資行動になるのでしょう。

業種別の騰落率をあらためてみて、今、トレーダーふっちーは、日経平均だけをみて、「3万円に戻った」、だから売りだ、買いだと単純に判断するのは早計と思うわけです。
業種別にみれば様々の投資環境の変化でバラバラの動きをするわけですから。

では、この先。下のチャートは、新型コロナウイルスの感染拡大で日経平均が急落した昨年3月の安値を100として、今回、3万円の大台に乗せた今年2月の高値を指数化して、その上位10業種をグラフにしたものです。

(出所)QUICKデータよりコモンズ投信作成

 

1位は、昨年の春以降、中国の景気回復が早かったことから、ばら積み船の運賃が急騰し株価が急上昇した海運ですが、トレーダーふっちーが注目したのは電気機器と機械、情報通信業。加えて非鉄金属と金属製品です。

電気機器や情報通信、機械はまさしく「DX」の世界。新型コロナの感染拡大が、なお一層その動きを速めたとも思っています。
今起きているコロナ禍の中での景気回復の動きも、「DX」が寄与しているは明らかです。製造業ではもちろんですが、不況にあえぐ飲食業やサービス業でも、AIやロボットの活用で労働現場での自動化が進み、生産性が急上昇したというデータもありますし、在宅勤務が普及したことで、時間効率が上がり、ホワイトカラーの生産性も上がったというデータもあります。この先、もっともっとその生産性は上がっていくことになるのでしょう。

そしてもう一つが、「脱炭素化」の動き。昨年の10月、菅政権は、2050年に温暖化ガスの排出量と吸収量の総和をゼロにすることを宣言しました。
その実現のための技術開発投資と、社会実装のための投資は30年で100兆円にも及ぶといわれています。この「脱炭素化」において成長が期待される産業は、エネルギー産業や非鉄金属と金属製品などの素材産業、さらには自動車、半導体、情報通信などの製造業に及びます。膨大な社会実験が、今世界中で始まろうとしています。

投資を考えるときに、今は実際には見えないけれども、将来、こうあったらいいな、こんなことができたらいいなと、きっとこんな風になるに違いないと、あれこれと将来に夢を馳せるのは楽しいことです。
だからこそ、投資もその夢を見ながら長期で続けることができる。トレーダーふっちーはそういうふうに思っています。

話がかなり飛躍してしまいましたが、そんな風に考えると、指数の「日経平均3万円回復」は投資指標として、ただの通過点だと思えるようになります。

「投資は未来を信じる力」。コモンズ投信ではみんながそう思っていますし、コモンズの仲間もきっとそう思って投資を続けていてくれるのだと信じています。

今回は、トレーダーふっちーは「日経平均が3万円回復」した時点で投資の意味をあらためて考えてみました。
なんとなくとりとめもなく、漠然とした感じになりましたが、次回は、「日経平均の3万円」について、もう少しロジカルに考えてみたいと思います。
「えっ?来年度の日経平均のPERが16倍になる?」。過去に勉強をした「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」も参考にしながら考えてみます。では。

※記載された意見・見通し等は作成日時点のものであり、将来の株価等の動きやファンドの将来の運用成果を保証するものではありません。

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トレーディング部/部長
渕上 幸男Yukio Fuchigami

国内証券会社で営業職4年。外資系証券会社に転じ委託取引や自己取引のセルサイド・トレーダーとして10年。国内投信委託会社に転じ、証券会社への売買発注にともなうバイサイド・トレーダーとして3年。その後、国内証券会社や株式投資情報会社でヘッジファンド調査や株式市場調査に従事。2015年10月にコモンズ投信に入社。

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