投信での資産づくりをメインにしつつ、株式投資のこともちゃんと理解したい人向けコラム
「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」
前回の記事(「日経平均3万円回復」はただの通過点―投資は夢があるからこそ長期で続けることができる)はこちら
2月半ばに3万円の大台に乗せた日経平均は、その後、3万円を挟んでのもみ合いでしたが、2月末からの米長期金利の上昇の影響もあって、いま(2021年3月8日時点)、株価は調整の中にあるようです。
値動きが荒っぽいのがちょっと気になりますが、思えば3万円に乗せるときだって一直線に上がったわけだし、ここはチャートでみても真空地帯、いわゆる日柄調整が必要なのかな?なんてトレーダーふっちーは考えています。
目先の動きはさておき、今回は日経平均のPERについて、過去の動きを参考にこの先のことを考えてみたいと思います。
株式投資の面白さは、魅力的な会社、夢のある会社に投資をすることだと常日ごろ考えていますが、日経平均という指数も、マーケット全体の動きやその水準を見るためにやはり欠かせない指数だと思っています。やはり、ここで、今一度みておきましょう。
「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」の第2回で、「日経平均株価のPERが22.7倍。えっ?22倍って高いんじゃないの?」というレポートを書きましたが、そのレポートを書いた昨年10月末の日経平均は22,977円、PERは22.3倍でした。
そして、先週末3月5日の日経平均は28,864円、PERは22.0倍です。
日経平均はあれから、先週末までに6,000円近く上がっています。先月は3万円を超えて7,000円以上も上がったこともありました。
でも、PERはほとんど変わっていない・・・どうなってんだろ?です。
さて、ここでおさらいです。
「PER=株価÷1株当たりの純利益」です。ここでいう純利益は、予想純利益を前提としています。
下の図を見てください。
PERは、(純利益が変わらないとして)株価が上がる、または(株価が変わらないとして)純利益が下がれば上がります。
逆に
PERは、(純利益が変わらないとして)株価が下がる、または(株価が変わらないとして)純利益が上がれば下がります。
ではPERが変わらないのはどういうときでしょう。
株価が上がって純利益も上がる、または株価が下がって純利益も下がればPERも変わりません。
昨年10月末から、今年2月に日経平均が3万円に乗せるまでに、PERは27倍台まで多少の上昇もありましたが、それでも2月の3万円乗せのときは23倍台でした。
そこから日経平均が少し下がった今は22倍台まで下がっています。
どういったことが起きたのでしょう?
その大きな変化は今年度の第3四半期の決算発表にありました。
それまでに日経平均は、新型コロナのワクチン開発や、米国の追加経済対策による世界的景気拡大への期待を材料に株価ばかりが上がっているように見えましたが、一方でこのコロナ禍にあっても日本企業の収益改善が相当にすすんでいたようです。
実際に発表された東証1部企業の今年度第3四半期の実績は、売上が前年同期比-4.7%、経常利益が+30.9%、純利益が+38.2%でした。
第2四半期の売上-10.3%、経常利益-15.2%、純利益-14.5%から予想以上に大幅増益に転じたのです。
さらに、今年度の東証1部企業の通期会社計画は、売上が前年比-8.4%、経常利益-18.7%、純利益-19.1%に上方修正されています。
DXや5Gの先行投資で半導体や電子部品業界は活況で、さらに自動車業界も受注に生産が追い付かないほどの繁忙で、半導体不足に拍車をかけました。巣ごもり需要でゲーム関連企業が大きく利益を伸ばしたのも特徴的でした。
そんな状況のなかで日経平均採用の225銘柄を単純平均した日経平均株価の今期予想純利益がどう変化したかをみてみましょう。
下のグラフは、新型コロナの感染拡大前の昨年1月からの日経平均のPERと今期予想純利益(EPS)のグラフです。
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