あけましておめでとうございます。渋澤健です。
日本海側など大雪の各地もありましたが、東京の元旦は青空で2022年が始まりました。
皆さんにとって良い、健やかな新年になりますように。
さて元日の日本経済新聞のトップ記事が目を引きました。
岸田総理の「新しい資本主義実現会議」が注目している日本企業の賃金アップについて有識者メンバーに拝命した私は、労働市場の流動性を高めることが必須条件であり、昭和時代の成功体験である新卒一括採用・年功序列・終身雇用を打破する必要があるという意見を述べています。そのような観点から、確かに同紙が示している「フレキシキュリティー」という概念が不可欠であると思いました。
岸田総理が掲げていらっしゃる「成長から分配の好循環」の大事なキーワードは「好循環」です。「成長」から「分配」、そして更なる「成長」へつながる連鎖です。
その好循環のためには、確かに「競争」→「再挑戦」というリンケージ(連鎖)が大事ですね。また、「共創」→「再挑戦」も必要でしょう。成長と分配の好循環は国内に閉じるべきではなく、日本から世界へ「分配」(投資)→「成長」→日本へ「再分配」というグローバルな視野の共創も忘れるべきではないという意見も実現会議で私は示しています。
ただ、関連記事で、日本の大きな課題も可視化されていました。
この記事は、「経済成長率」、「労働生産性」、「所得格差」などメトリクスで日本と世界の違いなど以前から色々なところで指摘されていることを一覧表として整理されています。そして、相変わらず日本に優位性があるのが「健康寿命」という分野です。ところが、目を疑ったのは、健康寿命の一つ上の欄の「他者への信頼度」でした。
先進国平均が214.1で、スウェーデン(522.2)、フィンランド(490.2)、デンマーク(521.3)と上位を占めているところ、日本のメトリクスは-62.0。桁違いなだけではなく、マイナスですよ。唖然としました。
いくら長生きしても、他者を信頼することができない生活が豊か、ウェルビーングとは決して言えないですね。
先週のブログでお伝えしたとおり、渋沢栄一は「希望ある道理を持て」と提唱し、「ぜひ一つ守らなければならぬことは、前述べた商業道徳である。約すれば信の一字である。」と訴えました。
そして、コモンズ投信の存在意義は「一人ひとりの未来を信じる力を合わせて、次の時代をともに拓く」であります。
共に拓くということは「共創」であり、上記に示したとおり、新しい資本主義には大事なリンケージであり、その共創には「信」が不可欠ということですね。
「他者への信頼度」が低い国を、日本の次世代に残したくありません。
日本が、他者へ他国へ、そして自分たち自身の信頼度を高めること。今年は、その元年にならないと。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。