株式会社UACJ 環境に優しいアルミニウムはこれからの成長産業

株式会社UACJは、古河スカイと住友軽金属が経営統合し、2013年に誕生しました。「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」という企業理念を掲げ、アルミニウム圧延品において、世界トップクラスの年間140万トン超の生産能力を持ち、売上高は1兆円に迫ります。現在、第4次中期経営計画の取組み最中ですが、計画最終年度である2027年度に予定されている売上高目標は、ほぼ達成できそうな勢いです。今回は株式会社UACJ 財務本部 IR部長の上田薫さん、IRグループ長の高見和外さんをお迎えし、統合報告書である「UACJレポート2025」のポイントについて、コモンズ投信運用部シニア・アナリスト/ESGリーダーの原嶋亮介と対談しました。
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株式会社UACJへの投資を決断した理由

コモンズ投信運用部シニア・アナリスト/ESGリーダー 原嶋亮介

私どもコモンズ投信では、「ザ・2020ビジョン」という公募投資信託を通じて、株式会社UACJに投資させていただいております。投資を開始したのが2022年のことですから、かれこれ4年以上保有し続けていることになります。
投資をスタートした当初、株価は割安というよりも、UACJの実力を株式市場が正当に評価できていない状況でした。コロナ禍という異常な環境だったこともあるかと思いますが、PBRで見ると0.5倍程度でしかなく、株価は500円台もしくはそれを時々、割るくらいの水準で推移していました。
それが今では、PBRが1.5倍程度まで上昇し、株価は2400円前後まで上昇しました。実に5倍です。ザ・2020ビジョンのパフォーマンスにも、大きく貢献してもらっています。
なぜ株価が安値に放置されていた時に、投資することを決断したのかというと、第一にアルミニウムという素材の価値が非常に大きいことが挙げられます。そして第二としては、グローバルで戦える競争力を持っていることです。
それに加え、当時は社長、CFO(最高財務責任者)をはじめとするマネジメント層から、IRに現場に関わっている社員の皆さんを含めて、株価を妥当な水準にしたいという強い想いを感じ取ることができました。それが株式会社UACJへの投資を決断した理由です。

【対談】アルミニウムの環境価値を経済価値化する

株式会社UACJ 財務本部副本部長 IR部長  上田薫氏
株式会社UACJ 財務本部 IR部 IRグループ長  高見和外氏
コモンズ投信運用部シニア・アナリスト/ESGリーダー  原嶋亮介

社外取締役全員のメッセージを反映した統合報告書に

原嶋  ちょっと余談ですが、弊社では毎年、日本経済新聞社が主催している「日経統合報告書アワード」の一次審査委員を拝命しており、かなりの数の統合報告書を拝見させてもらうのですが、拝見して一次審査を下すだけというのも何なので、私たちの視点でお伝えできる感想・意見などを、企業にフィードバックしています。
また、企業側からの要望があれば、私どもと意見交換をおこなうためのミーティングも設定させていただいております。実際、株式会社UACJさんの場合も、2023年版、2024年版の統合報告書を対象にして、フィードバックのためのミーティングをセッティングさせてもらいました。その時のフィードバックの内容が今回、2025年版を作成するに際して、お役に立てた面などはありましたか。

高見  本当に貴重なご意見をいただいて、私どもの統合報告書を改善するうえで参考にさせてもらいました。
2025年版の改善点としては、社外取締役の考えを把握したいというご意見をいただいたので、2024年版では5人いる社外取締役のうち、3人しか登場していなかったのを、2025年版では5人全員が登場し、しっかりとご自身の意見を語っていただきました。
この点については投資家の皆さんからも、「社外取締役の声が聞けて良かった」という意見を多数、頂戴しております。

原嶋  なぜ私どもが、統合報告書において社外取締役のメッセージを重視するのかというと、社外取締役の方々は各人、それぞれに意味があって社外取締役に任命されていると考えているからです。
そのため、社外取締役の方々が、ご自身に何が求められているのかを、どこまで理解・認識しておられるのか、そこから一歩踏み込んで、取締役会においてどのような発言やアドバイスをされているのか、それが経営にどう活かされているのを確認できることが大事であると考えています。
では、統合報告書の具体的な中身について、お伺いしたいのですが、田中信二代表取締役社長のトップメッセージについて、これを読んだ方は恐らく、田中社長はどういう人なのか興味を覚えると思います。社員の方から見て、どういう方でしょうか。

高見  トップメッセージのなかに、田中がポーズをとった写真が掲載されていて、そのなかには笑顔の写真もあるのですが、あれは決して社外向けの笑顔ではなくて、社内でも社員に向けて、あの笑顔で対話している姿をよく見かけます。
私自身、複数の事業会社を経て今の会社に転職してきたのですが、そのなかでも非常に敷居が低いと申しましょうか、本当に困ったことがあったら、いつでも相談できる社長という印象を受けました。その意味では、対話をしながら、企業価値の向上を目指して、一緒に物事を進めていくことのできる経営者だと考えております。

上田  写真を見てもお分かりいただけるかと思いますが、目力が非常に強い人です。確かに笑顔は素敵ですが、反面、製造現場の所長や部長を経験しているので、厳しい面も持ち合わせています。やはり製造現場ですから、従業員の安全には気を配らなければなりませんし、品質や納期なども厳密に守る必要があります。
ただ、本社に移って社長になってからは、ただ単に厳しいだけでなく、組織の状態も含めて部下にどう対応するべきか、組織を導くためにどうあるべきかを、しっかり考えているのが分かります。

ペットボトルよりも環境に優しいアルミニウム

原嶋  大企業のトップともなれば、全社員に対して居心地が良いだけではなく、時には厳しさも持ち合わせなければ、組織を引っ張っていけないところはあると察します。そのあたりのバランス感覚が、恐らく大切なのかも知れません。
ところでサステナビリティに関連して、「アルミニウムの環境価値を経済価値化するために」という点を、統合報告書でも取り上げていらっしゃいますが、一般の方にはそこが今ひとつ分かりにくいと感じました。その点、社内ではどのような受け止め方をされていますか。

高見  アルミニウムが持つ価値をしっかりアピールしていかなければならないことは、国内トップのアルミニウムメーカーとして常々、考えていることです。
たとえば飲料の容器ですが、日本国内ではペットボトルが多用されていることもあり、ペットボトルは環境に優しいというイメージが定着していますし、それを使用している飲料メーカーもそれをアピールしていらっしゃいます。一方、アルミニウムはリサイクルしやすい性質を持っていることから、繰り返し使うことによって環境負荷の低減に貢献でき、社会課題の解決だけでなく、大きな経済価値も創出できます。そこをもっと世間に知っていただくために、当社もアピールに努めていく必要があると考えています。

原嶋  これもトップメッセージのところで触れられているのですが、2030年までの長期目標として、「UACJリサイクル率」を80%にすると書かれています。また、長期経営ビジョンである「UACJ VISION 2030」の目指す姿として、「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ」ということを掲げられていますが、それによってどういう社会の姿になるのかなど、何かイメージはありますか。

高見  「UACJリサイクル率」とは、アルミニウムの資源循環性を示す当社指標で、溶解炉への装入量に対する循環アルミニウム量の割合で算出しています。この数字が高くなるほど、当社においてリサイクルが進んでいることを示します。
アルミニウムにはさまざまな特性がありますが、そのひとつとして特筆すべき点としては、リサイクルがしやすいことです。ほぼ無限にリサイクルできます。また、アルミニウムのリサイクル地金製造で発生する温室効果ガス(GHG)排出量は、同量の新地金の製造でのGHG排出量の、わずか3%に過ぎませんつまりリサイクルを繰り返すことによって、環境負荷の低減に大きく貢献できる素材なのです。
アルミニウムのリサイクルを進めることによって、循環型社会がしっかりと構築できれば良いですし、その実現に向けて、私どもが少しでも貢献できるような組織になれればと考えています。「UACJ VISION2030」にあるように、私どもの将来の到達点として、アルミニウムメーカーの側面から、循環型社会の実現に向けて努力してまいります。
それによってCO2の削減に寄与するのと同時に、当社のマテリアリティにも定めていますように「ネイチャーポジティブ」、つまり自然の保全と再生・創出にも貢献できればと考えています。
ご存じの方も多いと思いますが、アルミニウムの原材料であるボーキサイトは、その採掘に際して自然環境に負荷をかけます。そこまで遡って、いかにして環境負荷を軽減できるかも考えて循環型社会の実現に貢献できることを目指しています。

アルミニウムの魅力を世界に伝える

原嶋  日本においては、空き缶の回収率やリサイクル率は非常に高いと思うのですが、一方、海外に目を向けると、空き缶を川に投げ込んだりする姿も見られ、なかなか空き缶を回収したり、リサイクルしたりするカルチャーにはほど遠い国や地域も少なくありません。その点において、日本が海外にお手本のようなものを示して、世界的に空き缶の回収率やリサイクル率を引き上げていくことも考えられますか。

高見  その点については当社も強く意識しているところです。日本のアルミニウム缶のリサイクル率は99%を超えていて、回収された缶のほとんどが再利用されていますが、たとえば米国のアルミ缶のリサイクル率は、その半分程度です。
私どもは米国にTAA(Tri-Arrows Aluminum Inc.)という子会社を持っており、旺盛な米国需要を獲得しているのですが、その社長のヘンリー・ゴーディナーが、米国アルミニウム協会の会長ということもあって、アルミニウム缶のリサイクル率向上のための啓蒙活動を展開しています。これによって米国内におけるリサイクル率を高めるのと同時に、私どもがアルミニウム業界の国際団体にも関与することによって、全世界的にアルミニウム缶のリサイクル率向上にも取り組んでまいります。99%超という日本のリサイクル率の高さを実現した手法は、横展開できる部分も多いと思いますので、そこをしっかり定着させていければと考えています。

原嶋  最後に、かつてはPBRが1倍を割り込む状態が続くほど株価が割安な状態でしたが、どうすれば1倍を超えられるのかを皆さんが強く意識され、今の株価があるのだと思いますが、IRを通じてさまざまな機関投資家、個人投資家と対峙するなかで、日々、何かお感じになられることなどがあれば、教えて下さい。

高見  機関投資家の皆さんとお話させていただく機会は結構あるのですが、さまざまな面談を通じて実感するのは、アルミニウムという素材に対する期待感が高まっていることに加え、成長産業であるという認識が、徐々にではありますが、広がっていることを実感しています。
さらに、無限にリサイクルが可能であるというアルミニウムの最大の特性によって、これからの社会にとってアルミニウムが本当に必要不可欠なものになっていくことが、大勢の投資家の方々に認識されれば、そのなかで強い企業はどこだという話になります。
現在、UACJグループは、日本、米国、タイという世界3極で生産を展開しており、世界のアルミニウム市場を取り込んでいける可能性が高いことへの評価が、昨今の株高につながっていると認識しています。

原嶋  ありがとうございました。

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