これまでに、コモンズの2つのファンドを、バリュー株とグロース株の動きと併せて、足下の短期的な動きと、やや中期的な動きの中でみてきましたが、概ねみえたのは、「コモンズ30ファンド」も「ザ・2020ビジョン」も、共にグロース株に近い動きをするということです。
ただ、「コモンズ30ファンド」はバリュー株に近い動きをするときもある、「ザ・2020ビジョン」はバリュー株とはほとんど違う動きをするけれども、グロース株が動く時には、特に大きく動く、ということがみてとれました。
では、なぜ、そのような動きになるのかを、投資指標をみながら考えてみましょう。
表は「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」の今年4月末時点の来期予想PERと実績PBRです。
4月末時点で「コモンズ30ファンド」は31銘柄、「ザ・2020ビジョン」は59銘柄あって、それぞれのファンドは個々の銘柄でポートフォリオに占める組み入れ比率も違うことから、数字はファンド全体における加重平均で求めています。
ファンド | 来期予想PER | 実績PBR |
コモンズ30ファンド | 45.4 | 4.3 |
ザ・2020ビジョン | 47.2 | 15.6 |
(2021年4月末) |
4月末時点の東証1部のTOPIXのPERは21.8倍、PBRは1.4倍です。PERとPBRを見ただけでも、「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」は市場平均よりも高いPERと高いPBRとなっています。
前回で、バリュー株は相対的にPERが低く、PBRも1倍前後と低く、グロース株は、PERが高く、PBRも数倍と高く、新興企業にいたっては十数倍、数十倍という銘柄もありますとお話をしました。ということは、単純にみても、コモンズの2つのファンドはグロース株に近い特性をもっているといえます。
グロース株のメリットは、株式市場全体が上がるときに、それ以上に株価上昇が期待できることです、とお話をしました。
さきほど、2016年6月からの約5年間の動きについてみましたが、その間、市場全体が右肩上がりの動きを続ける中、コモンズの2つのファンドが、市場平均以上のパフォーマンスを上げることができたのもグロース株と相関が高いことが理由の一つといえますし、「ザ・2020ビジョン」が好パフォーマンスを示したのは他でもなく、グロース株に特に大きい正の相関をもっているからといえます。
そして、もう一つ。
バリュー株のメリットは、PBRが低いことから、株式市場全体が下がるときでも、グロース株と比較して株価の下落率が比較的に小さいということもお話をしました。
「コモンズ30ファンド」のPBRは4.3倍ですが、PBRが1倍未満から1倍台までで10銘柄の組み入れがあります。そのことで、株価の下落で調整局面にあるときでも下値抵抗があるというのも特色の一つとなっています。
またバリュー株のメリットとして、中長期的にはゆっくりとした株価の上昇が期待できるともお話をしましたが、「コモンズ30ファンド」がバリュー株の特色も持ち合わせていることから、長期で保有するには適しているともいえます。
ここまでは、あくまでもマーケットの中でのバリュー株とグロース株の動きと、そして単純な投資指標から、コモンズの2つのファンドを見てきましたが、ここでもう一度みていただきたいのは、ホームページにある2つのファンドの紹介です。
「コモンズ30ファンド」は、「資産をつくりながら、成長を続ける日本のよい企業を長く応援し、豊かな社会をこどもや孫へつなげる、そんな想いが込もった長期投信です」とあります。
そして「投資する約30社は、世界で成長し続けられる真のグローバル企業。「質」の高い企業に集中投資することで、高い運用成果を目指します」としています。
そして「ザ・2020ビジョン」は、「変化しはじめた企業、変化にチャレンジする企業を中心に中長期の視点で厳選し、ダイナミックな運用を行います」としています。
運用者の目線は、バリュー株やグロース株という単純な分け方で個々の企業をみているわけではありません。またPERやPBRなど、他の投資指標も含めて、単純に投資指標をもって個々の企業をみているわけでもありません。
企業の長期的な持続的成長を評価するには「見えない価値」を重要視しており、それは、経営力や企業文化、さまざまなステークホルダーとの対話を大切にしますとしています。
今回はバリュー株ってなに?グロース株ってなに?の話から、「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」の動きをみてきましたが、なが~~~い、なが~~~い長期の投資を続けていく中で、景気が良くなったり、悪くなったり、そして金利が上がったり、下がったり、さらには、今回の新型コロナウイルスの感染拡大など、予想すらしていなかったことが起きたりするなかで、なるほど、株価ってこんな動きをするんだ、だからファンドもこんな動きをするんだな、ということを少しでもわかっていただけたらと思っています。
では。
※記載された意見・見通し等は作成日時点のものであり、将来の株価等の動きやファンドの将来の運用成果を保証するものではありません。
トレーディング部/部長
渕上 幸男Yukio Fuchigami
国内証券会社で営業職4年。外資系証券会社に転じ委託取引や自己取引のセルサイド・トレーダーとして10年。国内投信委託会社に転じ、証券会社への売買発注にともなうバイサイド・トレーダーとして3年。その後、国内証券会社や株式投資情報会社でヘッジファンド調査や株式市場調査に従事。2015年10月にコモンズ投信に入社。