昨年1月末の日経平均は23,205円でした。
日経平均の(前期2020年3月期の)予想純利益は1,620円、PERは14.3倍でした。
それが、新型コロナの感染拡大で、今期(2021年3月期の)予想純利益が昨年9月に1,021円に急減しました。
一方でPERは23倍台まで上昇し、日経平均は23,000円台に上昇しました。
しかし、その後、今期(2021年3月期の)予想純利益は徐々に上方修正され、第3四半期の決算発表が終わった今、今年3月初めに1,375円まで上昇しています。

グラフ見るとわかりますが、今年の2月以降、日経平均は急上昇しましたが、今期の予想純利益が増加したことで、PERはむしろ低下する動きがみられます。
さらに足下の日経平均の下落とあいまって、現時点(2021/3/8)での今期PERは22.0倍にまで低下しています。
先ほどもお話をしましたが、(株価は上昇しても)「PERは、予想純利益が(株価の上昇率以上に)上がるときに下がります」という状況になったのです。

2月半ばに日経平均が3万円に乗せたとき、一部には株価の上昇だけをみて、「実体経済から乖離していて説明がつかない」とか「この株価上昇はバブルだ」とかいう声も聞かれましたが、トレーダーふっちーはそんな風には考えていません。
ちゃんと利益の回復が株価に織り込まれていたものと考えています。
このことは、前回のレポートで申し上げた「日経平均3万円回復はただの通過点」と考える理由の一つになったわけです。

ただ、やはり、日経平均のPERが22倍台というのは過去を振り返っても高いです。
「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」の第2回に、「一つの目安としてPER15倍くらいが標準的な水準で、10倍台の前半だと割安、20倍台だと割高といえますというのが教科書的な理解です」と書きました。それからすると、今のPERの22倍は割高といえます。

ではなぜ、「日経平均3万円回復はただの通過点」と考えることができるのでしょう?

それは来期の日経平均の予想純利益がさらに増えると予想されるからです。
「PERは、(株価が変わらないとして)純利益が上がるときに下がります」とお話しをしました。
株価が上がっても、それ以上に純利益が上がれば、PERは下がります。トレーダーふっちーは、この先、そうなると思っているからです。

下のグラフは、昨年1月からの日経平均のPERと来期(2022年3月期)予想純利益(EPS)のグラフです。

(出所)QUICKデータよりコモンズ投信作成

現時点の、22年3月期の来期の日経平均の予想純利益は1,853円です。
今期よりも、来期は約40%近く純利益が増えるとの予想です。
新型コロナ感染拡大前の昨年1月末の予想純利益は1,740円でしたが、今後、コロナウイルスのワクチン接種も始まって、日常生活が徐々にでもコロナ前の姿に戻っていくとすれば、そして、さらにアフターコロナの新しいビジネスもが生まれていくとすれば、将来(の利益)は新型コロナの感染拡大前のそれを大きく上回るとの予想です。

予想純利益が増えれば、PERは低下します。現在の日経平均の今期予想PERが22.0倍です。
来期予想PERは15.7倍の予想です。
今期と来期のグラフをつなぎ合わせると、来期はPERは20倍を割り込んで15倍台に低下していくと予想されます。

そうなるとすれば、「一つの目安としてPER15倍くらいが標準的な水準」に戻っていくわけで、「今のPERの22倍台は割高」ではなくなるとの予想です。

「マーケットは、現在の利益水準ではなく、将来の予想される利益水準をみている」ということを「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」でお話をしました。
まさに、マーケットは、アフターコロナの世界をみようとしています。

「投資は未来を信じる力」だと考えるのがコモンズ流です。
今回、今期と来期の日経平均の予想純利益とPERをみてきましたが、本来、投資は大きな夢をもって、もっともっと先の数年先、数十年先の将来を見据えて、そしてその未来を信じて臨むものだと思っています。

この先も株価は上下しながら、時には大きなスピード調整をしながらも、将来の企業業績の拡大に支えられて上昇していくものだと考えています。
目先の動きに惑わされず、自分が思い描く、その時の未来を信じて、ゆっくりと、そしてなが~~く投資を続けることが、投資で大きな成果を上げるこつと思っています。

では。

※記載された意見・見通し等は作成日時点のものであり、将来の株価等の動きやファンドの将来の運用成果を保証するものではありません。

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トレーディング部/部長
渕上 幸男Yukio Fuchigami

国内証券会社で営業職4年。外資系証券会社に転じ委託取引や自己取引のセルサイド・トレーダーとして10年。国内投信委託会社に転じ、証券会社への売買発注にともなうバイサイド・トレーダーとして3年。その後、国内証券会社や株式投資情報会社でヘッジファンド調査や株式市場調査に従事。2015年10月にコモンズ投信に入社。

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