皆さん、こんにちは
コモンズ投信 伊井です。

今日は、長期投資家の銘柄売却のスタンスについての考え方をお伝えします。
コモンズ30ファンドでは、先月、2014年の4月から約8年間投資を続けてきた東レの株式を全売却しました。
東レは、炭素繊維に限らず非常に優れた技術、優秀な人材を抱える企業。
超長期の研究開発によって培われた多様な技術の引き出しを有し、かつボーイングやファーストリテイリング(ユニクロ)やトヨタなど各業界のトップ企業とコラボレーションすることでより技術を磨いていく戦略も高く評価しポートフォリオに組み入れてきました。
その見方は今も変わっていませんが、2017年には子会社でタイヤコードの品質不正が発覚したことなど、企業体質やガバナンスを懸念する事例が続きました。
短期の投資家ですとこうした不祥事が発覚した時点ですぐに売却となることが多いと思いますが、コモンズを含め欧米の骨太な長期投資家は不祥事などですぐに売却することはしません

人間でも企業でも、ミスや間違いを起こすことはあります。
そのミスだけで、全面否定をすることは長期的な成長や潜在的な能力を見誤りがちです。

コモンズでは、その問題が起こったことに対して説明を伺うだけではなく、「ガバナンスはどうだったのか」、「企業文化はどうだったのか」、「そういったものがビジネスにどのように影響するのか」というようなことの調査と対話を重ねて最終判断にいたります。今回も、こうした調査と対話を3年ほど重ねて改善をしていってほしいという期待をお伝えしてきました

しかしながら、いずれの点においても私たちの期待するところまでは改善がなかなか進まない状況が続き、この度、投資委員会での最終的な判断を以て全売却するという判断に至りました。
しかし、東レのように人財においても技術においてもポテンシャルの高い企業は、売却後も調査と対話を継続していきます。
いずれ、前述のような状況も改善される時が来ることを期待しているからです。改善が見られれば、そのポテンシャルが事業にも社会にも大きなインパクトを与えるはず。

コモンズ投信が実践する投資は、長期、厳選、対話による価値の共創です。
コモンズ30ファンドでは、「5つの軸=収益力、競争力、経営力、対話力、企業文化」という観点から、持続的な成長が可能かどうかを見極め、銘柄を厳選して投資をします。
また、「長期」という視点があるからこそ、短期的な業績不振や不祥事などで売却することはせず、対話を行い、投資先の価値が高まるよう務めます。

その価値を一緒に創っていってくださるのが、投資家であるお仲間の皆さんです。

お預かりした大切な志金(資金)によって、投資先企業をしっかりと支え、そして、対話することで次世代に続くよりよい未来につながる価値を共創していきます。
引き続き、未来を創る投資を私たちとご一緒ください。

※ファンドの運用については2022年3月コモンズレターもぜひご参照ください。

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