トレーダーふっちーの新シリーズ「トレーダーふっちーのマーケットの見方」が始まります!
不定期ですが、マーケットの節目などにお届けして参ります!
“シェフの気まぐれパスタ?!” 味は極上。ぜひ気長にお付き合いください。
第1回「金利が上がって株価が上がる・・・これってどうなってんだろう?」です。
2022年7月27日、FRBは米連邦公開市場委員会(FOMC)で、前月に続き2回連続で0.75%の利上げを決定しました。マーケットは急速な利上げによる景気後退を懸念していますが、FRBは、まずは消費者の生活を圧迫するインフレの抑制に注力するとしました。
この利上げ決定に、マーケットは株価上昇で反応しましたが、さて、この先、マーケットはどうなるんだろう?を考えてみたいと思います。
今年に入って新聞の経済欄や市況欄で目につくのは「インフレ拡大」「原油高騰」「金利上昇」「株価下落」さらには「景気後退」等々、株式投資にはネガティブな記事です。
経済指標が発表される度に、「長期金利が上昇、株価が下落」や「長期金利が低下、株価が上昇」との市況が伝えられます。最近になっては「長期金利が低下し、株価が下落」や「長期金利が上昇し、株価が上昇」などと、えっ、それってちょっと前の状況と違うんじゃない?と猫の目のように変わる市況解説に惑わされるのもしばしばです。
投資をしているうえで、日々、株価が上がったり下がったりするのをみて、その理由がわからないと不安になりますし、株価が下がっているとなおのことです。ただ、その理由がわかっていれば、日々、株価が上がったり下がったりすることに一喜一憂することでもないように思います。
大切なのは、今のマーケットがどんな状況にあるのかを理解したうえで、投資を続けていくことだと思います。企業が将来的に利益を出していく限り、株価は長期で右肩上がりになるということを前提として、長期で積み立て投資を続けていくことのメリットは、株価が安いときにたくさん買う、株価が高いときは少しだけ買う、です。今の市況でいうならば、インフレ抑制のために金利が上がって株価が下がっているわけですから、そのことを理解すれば、株価が下がっている今こそたくさん買えると思えば、この先も安心して積み立て投資を続けていくことができるはずです。
昨年の前半に「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」を書きました。後半にはコモンズTVで「トレーダーふっちーが語る長期投資におけるテクニカル分析」を配信しました。
二つのコンテンツは、いずれもトレーダーふっちーの投資指標の見方やテクニカル分析を、長期投資の視点からお伝えしたものです。あらためてそれらを見返した後に、えっ?あの時はそんな見方をしていたんだ・・・などと思いましたが、大事なのは、じゃあ、今のマーケットってどうなってんの?これからどうなるんだろう?です。以前に作った資料で考えていきたいと思います。
先ずはチャートからみていきましょう。チャートは、2020年初めに新型コロナの感染拡大した以降の日経平均のチャートです。
「トレーダーふっちーが語る長期投資におけるテクニカル分析」の第2回で長期投資とトレンドラインの重要性についてお話をしました。
株価がどの方向を向いているかをみるために、回帰分析を用いた近似直線Y=aX+b(一次関数)を引いて、現在の株価の位置が、中心線よりも上にあれば株価は拡大中、中心線よりも下にあれば株価は調整中としました。現在の日経平均はその近似直線を下回っていて、明らかに株価は調整中ということが見て取れます。
また第3回と第4回では移動平均線の活用についてお話をしていますが、200日移動平均線は中期のトレンドをみる場合に重要で、200日移動平均線が右肩上がりで、株価がその上にあれば拡大中、右肩下がりで株価がその下にいれば調整中としました。これについても現在の日経平均は200日移動平均線が右肩下がりで株価がその下にいるので調整中ということになります。
では、なぜ、今の日経平均は調整の中にあるのか?今、どんな状況にあるのか?
それを見ていくのが、「トレーダーふっちーが語る長期投資におけるテクニカル分析」の第8回でお話をした「相場サイクルと金利の関係」になります。
景気には山あり谷ありで、景気がよくなったり、悪くなったりもしますが、それは循環するものと思っています。その循環において、政府の財政政策や中央銀行の金融政策がかかわることで、株価が上がったり、下がったりするとも思っています。
そして、その株価の上げ下げには4つのサイクルがあって、それぞれの局面を「金融相場」→「業績相場」→「逆金融相場」→「逆業績相場」と呼びますが、それらが景気の山・谷において循環するというものです。また、4つのサイクルを循環する際に、「金融相場」→「業績相場」に移行する際には「中間反落」、「逆金融相場」→「逆業績相場」に移行する際には「中間反騰」があることが知られています。
その4つのサイクルの中で、金利、株価、業績、PERはどう動くのかを具体的に示したのが下の図になります。
2021年の11月にこのお話をしたときは、振り返ってみれば、景気は山のてっぺん近くにいました。企業業績は好調、株価も上昇していました。いわゆる「業績相場」の中です。本来ならば、そこで金利は徐々に上がり始めるのですが、それが遅れていたという状況が、今のインフレの引き金になったともいえそうです。
では今の日経平均はどのサイクルの中にあるのか?です。
トレーダーふっちーは「逆金融相場」から「中間反騰」に移行したサイクルにあると思っています。
振り返ってみましょう。昨年の後半から、米国ではすでにインフレの兆候が明らかになっていました。新型コロナの感染拡大が収束し、経済活動が正常化する中で、供給不足によるインフレが始まっていました。ただ労働市場だけが失業率が高止まりしているということで、FRBは金利の引き上げを渋っていたのです。
そこに突然起きたのが2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻です。ロシア産の原油や天然ガス、小麦などの穀物の供給がストップし商品市況が高騰、世界的なインフレに火が付きました。インフレがひどくなると困るのは一般の消費者です。そしてそれが人々の不満にもなっていきます。そんな中、ようやくFRBがインフレ退治に懸命になったのが5月のFFレートの0.5%利上げからです。それまでに、マーケットはなおも収まらぬ高インフレ率に、先行きの金利上昇を見越して、米長期金利は2%台から一気に3%台半ばまで急上昇し、米株価指数のダウ平均やS&P500指数は高値から20%を超える大幅調整となりました。そして6月、FRBは6月に異例ともいえる0.75%の利上げを決定し、さらに7月に2回連続となる0.75%の利上げを決定しました。
ただ、株価は7月のFOMCを控えてその直前に下げ止まっているように見えます。米長期金利も2%台後半まで低下しています。マーケットは債券市場においても、株式市場においても先読みをして動きます。今なお高止まるインフレ率も秋口には収まるだろう、そうなれば、米国の利上げも年内をみればあと2回、FFレートも3%を超えれば当面の上限だろうとの見方で動いているようです。
振り返りが長くなりましたが、先に、トレーダーふっちーは、日経平均は「逆金融相場」から「中間反騰」に移行したサイクルにあると思っていますとお話しましたが、「逆金融相場」は6月のFOMC直後の日経平均の安値で終わって、今は年内の米利上げ終了の時期をみて「中間反騰」に移行したサイクルの中にあるように思っています。このサイクルの中では先に示した図から、金利は「横ばい(になる)」、株価は「(やや)上昇」、業績は「(やや)悪化」、PERは「(やや)上昇」となります。
こうやって、景気循環と株価サイクルを頭において、今のマーケットの状況を日々伝えられる経済指標や企業業績などのニュースをみていると、なぜ株価が上がっているのか、下がっているのかが少しは理解できるはずです。そうすると頭も中も整理されて、株式投資に対する不安もなくなっていきますし、そうなれば、株価が下がっていても今はチャンスとばかり、株式を買い増しできるようになるはずです。
さて、「逆金融相場」の後の「中間反騰」の後はどうなるのかも考えておきましょう。サイクル論から言えば次は「逆業績相場」になります。金利は「低下」、株価は「下落」、業績は「(さらに)悪化」となります。
FRBが0.75%の利上げを決定した翌日の28日に発表された米国の4-6月期GDPが2四半期連続のマイナスとなりました。マイナス成長が2四半期続くと「テクニカルリセッション」と呼ばれ、機械的に景気後退局面とみなされます。すでにマーケットは、FRBが年内にも利上げを休止し、翌23年早々にも利下げに転じる可能性すら織り込み始めているようです。
ただ、先にお話ししたように、日々の株価の上げ下げで、その理由が概ね理解できていれば、安心して株式投資を続けることができるということなので、株価が下がれば、さらに株式を多く買い増す機会になるということなります。
今のマーケットは「中間反騰」に入ったばかりと考えていますし、「逆業績相場」に移行するのはその先と思っています。その時にはまたふっちー流の相場の見方をお伝えしたいと思います。
※本資料は、投資家のみなさまに参考となる情報の提供を目的として作成したものです。特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではなく、投資信託への投資にあたっては当該商品の投資信託説明書(交付目論見書)を必ずご覧いただき、ご自身でご判断ください。