なかなか良かった岸田総理の海外演説

おはようございます。渋澤健です。
今年のゴールデンウィークは久しぶりに人出も多かったと思いますが、ゆっくり休養できたでしょうか。

私は急遽、パリへの出張が入り、2年3ヵ月ぶりに海外の地を踏みました。こちらの写真は夜の9:30! 実はパリの緯度(48°)は、樺太の真ん中と同じぐらいなんですね。

ワクチン接種の証明書など色々な書類を準備しましたが、フランス入国審査の時はパスポートチェックだけでした。ワクチン接種の有無は聞かれず、もちろんPCR検査もありません。公共交通機関を利用するときにはマスク着用を求められますが、街中では1%未満。様々な人たちの表情が目に入る、普通の生活が戻ってきていました。むしろ、日本へ帰国する方が大変。現地で72時間内のPCR検査の証明を準備、空港の入国審査の前に再度のPCR検査などの検疫プロセスにかなりの時間がかかりました。

私が帰国した5日の同じタイミングに、ロンドンで演説した岸田総理が「6月にG7並みの入国緩和を示した」というニュースが流れました。5月からにしてほしかった。。。

ところで、この演説ですが、なかなか良い内容だったと思います。「新しい資本主義」の意味がわからん!という声が国内外でほとんどですが、見出しだけではなく、内容をしっかりと読み込めば、かなりクリアにまとめてあります。私は「新しい」ことの要は「外部不経済」を資本主義に取り込むことだと思っています。ここにメディアが焦点を当てないのは、一般読者には難しすぎるとバカにしているのではないかと思うところがあります。

講演のテキストや動画は首相官邸のサイトからご覧いただけます。英語版のテキストも用意されていますが、これは、日本語よりもよい出来栄えで表現してあると感じました。これまで特に海外向けの「新しい資本主義」のメッセージングに課題があったと痛感していたので、かなり改善したと評価しています。

そんなに良い内容だったら国内で発表すればいいのに!という意見もあると思いますが、ロンドンから日本を含むグローバルにメッセージを送るということは戦略的にもよく考えたと思います。

長期投資の皆さんに直結する内容である、人的資本のストックについて岸田総理は以下を示しました。

 そして、もう一つ重要なストック面での人への投資が、「貯蓄から投資」です。我が国個人の金融資産は2,000兆円と言われていますが、その半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この10年間で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません。ここに日本の大きなポテンシャルがあります。
 私は、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現いたします。そのために、NISAの抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して「資産所得倍増プラン」を進めていきます。

これは、特に「新しい」ことではありませんが、大事なことですよね。投資期限があるNISAは必ずしも長期投資に相応しい制度ではないと私は思っていますが、「つみたてNISA」は極めて優秀な制度だと評価しています。つみたてNISAが発足してから、特に若手世代の投信口座が業界的に増えているということは、まさに長期的なストックづくりに貢献しています。年間の対象金額が40万円限度に対する不満はありますが、金額よりも恒久化の方が制度改正の優先度が高いと思います。また、対象年齢を現状の成人以上から、0歳以上に引き下げるべきです。

これについては、メンバーとして参画させていただいている「新しい資本主義実現会議」の第5回の提出資料と共に提案していますので、このような考えが政府の上部層に届いたのであれば良いなと期待しています。

最新情報をチェックしよう!