脱炭素社会の「北極星」とは

おはようございます。渋澤健です。

土曜日に開催されたGreen Innovator Forumの総括パネル・ディスカッションの司会を務めました。聴講者は主に大学生・大学院生など若手精鋭で形成されているGreen Innovation Academyの第一期生でした。「業界・分野・世代を超えた協働で未来をつくるイノベーションを生みを実現する」ミッションを掲げる本プロジェクトの創設者は、第二回コモンズ社会起業家フォーラムのOBである菅原聡さんです。当時のご活動も素晴らしいと思いましたが、約10年の年月を経て、活動が進化していることに感銘を受けます。やはり熱いパッションと揺るがない意志は大事です。

素晴らしい内容のフォーラムで私も学びや気づきが多かったですが、特にオープニング・セッションの岡田武史「校長」のトークが良かったです。私が日々、話をしている内容と重なるところも多かったですが、ウイットに富んだ監督の人間性がとても魅力的でした。

私が司会を担当した当日の最後のセッションの内容は「未来」。そして、その未来をつくるセクターを超える「協働」です。

セクターを超えるということは、それぞれの立場が異なるということです。また、特に組織単位で物事を進めるときに、手段を目的化してしまう傾向もあります。そして、未来とは因果関係がリニアにつながって生じるものと考えがちですが、実はもっと複合的、複雑的な因果関係で生じることが実態だと思います。

そういう意味で、協働には「北極星」が必要でありましょう。冒頭のパネリストの自己紹介のときに、それぞれの北極星とは何かとお伺いしましたが、案の定、皆さん、それぞれのお考えがありました。私が思うに、脱炭素社会を目指すGreen Innovationにおける北極星とは「Planetのため」ではないと思います。地球は、人類が滅びても存在します。そういう意味で大事なことは、「地球における人類の持続可能な繁栄と他の生命体の共存」だと私は思います。

また、「脱炭素」=「脱成長」というイメージもあるので、そもそも「成長」って何だっけとパネルに問いました。成長をGDPで測ることに異論の声が上がりましたが(私も、その一人です)、一方で「価値」の成長の否定は無かったです。

では、その「価値」の可視化のためには測る尺度が必要になります。尺度があることが、様々のセクターの「共通言語」になりますから。財務的な尺度は分かりやすいです。分かりやすいことは広まる力があります。ただ、財務的な尺度だけだと環境や社会など外部性が放置される傾向があります。これが、今までの新自由主義的な経済学や資本主義の課題でありましょう。

そういう意味で、他の非財務的な尺度が必要かもしれないということに議論を展開しました。コモンズ投信的に言えば、企業の「見えない価値」の可視化です。実現は、なかなか簡単なものではないと思います。ただ、見えない夜空の北極星のように、これは目指すべきところではないでしょうか。

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