コモンズ30ファンドの投資先企業をお招きし、定期的に開催している「コモンズ30塾」。
今回の30塾はこれまでにない多くのお客さまにもご参加いただきました。
環境問題に限らず、持続的な社会を育んでいくには、長期的な視点が欠かせません。セブン&アイのような取り組みを行っている会社をしっかり選んで投資することがアクティブファンドの意義であり、またそうした会社を長期の資金で応援していくことが私たちコモンズ投信の役割です。
今回は、『脱プラスチック』をテーマにして、セブン&アイ・HDと日本環境設計の取組みについてお話いただきました。
~∞~∞~∞~∞~∞~∞~∞~∞~∞~∞~∞~
セブン&アイ・HD
コーポレートコミュニケーション本部 サステナビリティ推進部
シニアオフィサー佐藤 聡 様
「GREEN CHALLENGE 2050」
去る7月26日(金)、コモンズ30ファンド投資先企業セブン&アイHD(以下、セブン&アイ)コーポレートコミュニケーション本部 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー佐藤 聡さまと、日本環境設計株式会社代表取締役社長 髙尾 正樹さまをお迎えし、『脱プラスチック問題』をテーマにコモンズ30塾を開催いたしました。
コーポレートコミュニケーション本部 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー佐藤 聡 様 |
プラスチックの海洋汚染問題などが深刻化する中、セブン&アイは2030年を目処にグループでのプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目指すと発表しています。
また、日本環境設計は#12289;「あらゆるものを循環させる」をビジョンに掲げ、リサイクルした服からエタノールを精製する技術を開発するなど、さまざまなリサイクル事業を展開しており、両社は協業関係にもあります。
まずは、佐藤さまより、セブン&アイ・HDの取り組みについてお話をいただきました。
セブン&アイは、コンビニのセブンイレブンやスーパーのイトーヨーカドーなど国内外に160もの消費・流通グループを持ち、世界全体では売上は約12兆円、全店舗数は69,200店、一日の来店客数は6,400万人にも上ります。
日本国内だけでも全店舗数は22,400店、来店客数は2,400万人です。
環境配慮型素材の
セブンプレミアムお惣菜パッケージ
|
グループとして大きく成長する一方で規模拡大に伴う環境負荷への課題を認識しており、環境負荷低減に向けた様々な取り組みを展開してこられました。
例えば、地球温暖化対策として太陽光発電の利用や、廃プラスチック対策としてのリサイクル活動、食品ロス低減のためのセブンファーム事業などです。
その中で、プラスチック問題については、消費量が世界的に激増しており、陸から流出することにより、2050年には海洋中のプラスチックが魚の量以上に増加すると見込まれています。
日本ではごみの回収率が高いことから、海への流出は相対的に少ないものの、プラスチック包装容器の廃棄量(一人当たり)で見ると、世界では米国についで2番目に多いという現実もあります。
会場の様子(対談) |
こうした中、レジ袋やペットボトル、お弁当容器などたくさんのプラスチックを使用するセブン&アイグループでは、2050年までに4つのテーマごとに厳しい目標を設定しました。
その中の一つが、上記2030年までに「プラスチック製ゴミ袋の使用をゼロにする」といった目標に加え、2050年までに「オリジナル商品(セブンプレミアムを含 む)で使用する容器は、環境配慮型素材 (バイオマス・生分解性・リサイクル 素材・紙、等)100%使用」とするものです。
具体策として、環境イノベーションチームの立ち上げ(会社・部門横断型の組織)や、2019年秋を目途に、セブンカフェ用のストローにおいて生分解性ポリマーを用いた製品への切り替えなどです。
また、セブンプレミアム初のリサイクルペットボトル商品として「一(はじめ)茶」の発売を開始しています。これは自治体とも連携した取り組みとして今後も回収拠点を増加させるなどして順次拡大される予定です。
セブン&アイ・HD HPより |
環境負荷低減に向けたこうした積極的な取り組みについて、参加者から会社の成長とどのように両立させていくのかという質問がありました。
この質問に対し佐藤さまは、「生産現場や開発現場からすれば非常に難しい課題を化されていることになり、また営業面ではコストの増加といったところで当然社内でも意見の対立がないとはいえない。
しかし、社会の持続性があってこその事業であり、また、長期的な視点でお客さまから支持される、選ばれる会社であり続けるために、なんとしても長期的な目標の達成に向けて取組んでいきたい」と回答されました。
つづいて、日本環境設計の髙尾社長さまから、「要らない服からエネルギーをつくろう」という発想から生まれた同社の取組みや、「リサイクルを楽しむ」といった発想から生まれる循環型社会への新しい視座をお話いただきました。
日本環境設計株式会社代表取締役社長
髙尾 正樹さま
|
同社が、いらない服からバイオエタノールを生産しその燃料で車を走らせることを目的とした”デロリアン走行プロジェクト”(映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するごみで動く自動車デロリアンを再現すること)では、実際にイトーヨーカ堂にデロリアンを展示していらなくなった服を回収するイベントなども開催されました。
デロリアンが走る感動のドキュメンタリー動画こちら↓
こうして集められた服が実際に燃料となり、イベントは大成功を収めました。
これまでは、製品として生み出された“モノ”はいつか“ごみ”となって処分されてきましたが、これからは“ごみ”から“モノ(製品)”を生み出す循環型経済の時代に入ってくることを実感できるお話を伺うことができました。
最後に代表の伊井から企業のこうした取組みを評価し長期に投資することの意義などについてお話させていただきセミナーを終えました。
社会や企業の持続的な成長を支える長期的な取組に着目しお伝えできるようなセミナーを今後も開催していきたいと思っております。