
3/11に開催される8周年イベント「The 8th Commons Dialog~共に創る”対話”の時間~」のザ・2020ビジョンのテーマコンテンツ『2020年に向けて』では、AIの最先端領域で世界を相手に戦うベンチャー企業、Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)の取締役COO長谷川順一さんをゲストにお招きします。AIの最前線をご紹介いただきながら、AIを通して見る産業の変化、働き方の変化、有望な企業などについて会場の皆さんと一緒に少し先に見えてきた未来を描きます。
でも、面白いことは少しでも早く知りたいですよね。そこで、実際にイベントで登壇していただく長谷川さんに、当日お話しいただくさわりだけ早速聞いてきました。
AIの最先端領域で世界を相手に戦うベンチャー企業
プリファード・ネットワークスってどんな会社?
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3月11日のイベントをただの運用報告会ではなく、対話を楽しむ時間にしようと、意気込み中。今回のイベントに登壇していただく方のなかで、個人的に気になっているテーマのひとつがAI。
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たとえば、産業ロボットがたくさん稼働している工場では、人間がプログラミングして、こういう動きをしなさいと決めているので、ひとつのロボットが故障して動きを止めてしまうと、ライン全体が動かなくなってしまいます。しかも、なるべくロボットが止まらないよう、非常に細かい調整を積み重ねていくため、ロボット自体の値段よりも、そのシステムを組むシステムエンジニアリングに掛かるコストの方が高くなるという問題がありました。
でも、ロボットがもっと賢くなって、たとえば1台の動きが止まっても、他のロボットが協調し合い、止まったロボットの役割を補完しながら稼働し続けられるようなネットワークが組めれば、ラインが止まらずに済みます。機械単体に組み込まれた人工知能をより高度化させるだけでなく、人工知能と人工知能をつなぐネットワークの領域も含めて、より賢いものにしていく。社名の「ネットワークス」には、ネットワークをより賢いものにするという意味も込められています。

あとは、自動車の自動運転です。これは2020年にもなれば、かなり実用化されていると思います。自動運転では、自動車に複数のカメラとセンサー、ミリ波レーダーを搭載し、人、標識、車道、路側帯などを認識しながら、人や荷物を目的地までより安全に運ぶことを目標に開発が進められており、私たちはその認識の部分などもディープラーニングで学習し、その精度を上げるところで競争しています。この競争は本当に日進月歩で、カメラやセンサー、そしてディープラーニングの進化によって、昨年までは出来なかったことが、今年は出来るというくらいのスピードで、どんどん進化が加速しています。

このように、自分で学習した結果をもとに起こしたアクションで得た結果から、さらに学習することを繰り返していくのが、ディープラーニングです。この方法だと、通常のプログラミングで行うと1年くらいかかるものが、1時間程度でクリアできてしまう。
しかも、コンピューターは決して疲れたとは言わないので、24時間365日学習し続けられます。勝手に賢くなっていくのです。

今、IBMのワトソンという人工知能も、医療分野での応用が行われていますが、これは大量の論文、医療カルテから、こういう人にはこういう処方をすれば良いというように、あくまでも過去の知見から処方箋を見つけ出すものです。
これに対して我々が今、取り組んでいるのは、今まで分からなかった知見を、ゲノムデータから見つけ出すというチャレンジです。これが実現すれば、99%以上の確率で、特定のがんを早期発見できるようになります。

人工知能もそれと同じで、現時点では自動運転や産業用ロボット、あるいは医療分野などでの応用が行われていますが、これと組み合わせたら需要が爆発するというものは他にもまだ沢山あります。
ただ、ひとつだけ確信をもって言えるのは、トランジスタは電気信号に関連する部品なので、おもに電機業界に広がりましたが、人工知能は世の中に存在するすべてのデータを扱えます。データはさまざまなセクターの、さまざまな企業が持っているものですから、それがもたらす影響の度合いは、トランジスタと比べ物にならないくらい、大きなものになります。

その時、膨大な自動車、交通関連のデータを持っている自動車メーカーは、自動車保険のビジネスに乗り出してくるかも知れない。
あるいは医療機関が生命保険のビジネスに関わることも考えられます。
恐らく、高品質なデータをたくさん持っているところが、垂直統合的なビジネスに乗り出してくるでしょう。
また、それだけ膨大なデータインフラを、莫大な資金を投じて整備できる企業は、業界内でも1位、2位くらいまでに限られます。
つまり、人工知能が普及していくなかで、生き残れる企業は業界で1位、2位までということになります。きちんとデータを生み出して、それを新しい付加価値につなげられるような企業じゃないと、生き残れない時代になるでしょう。

こういう分野で、世界を相手にしのぎを削るわけですから、人数が多ければいいということではなく、草野球チームじゃなくて、プロフェッショナルな集団を作っています。
社内を見渡すと、国際的なプログラミングコンテストでのメダリストだったり、数学オリンピックで金メダルを取ったりしている人が普通にいますし、副社長の岡野原自身、10歳の頃から論文を読み、今も週に100本の論文に目を通して良いものはすぐにプログラミングしてしまうくらいの人物です。
世界的にトップレベルのエンジニア集団と自負しております。
3月11日当日は、今回、日本ベンチャー大賞において経済産業大臣賞を受賞したプリファード・ネットワークスとファナックが共同開発している機械の映像や、自動運転の映像なども使いながらさらに詳しくお話いただく予定です。また、長谷川様と鎌田・糸島との対談を通して、「ザ・2020ビジョン」が見据える”変化”を皆さまに体感していただけると思います。
ぜひ、会場に足をお運びください!
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The 8th Commons Dialog~共に創る“対話“の時間~
日時:3月11日(土) 10:30~17:30(受付開始 10:00)
場所:東京都中野区(コングレスクエア中野)参加費無料
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※長谷川さんにご登壇いただくのは『2020年に向けて』(15:30~16:30)です→ 取材記はこちらのブログで紹介しています。