ESG経営の実践は長期投資家の醍醐味

おはようございます。渋澤健です。気温が全国的に下がってきましたが、新型コロナ・ウイルスの感染の第三波の終息も見えないので、特に今年の冬は健康管理にお気をつけてくれぐれもご自愛ください。

さて、権威ある米国ビジネス誌の日本版である「ハーバード・ビジネス・レビュー」【ダイヤモンド社】の1月号の見本が手元に届きました。

今号の特集「ESG経営の実践」にインタビューで登場しますが、しっかりとボリューム感ある記事をまとめていただき、大変光栄です。書店販売は12月10日(木)のようですが、お手元に持って是非とも一読お願いいたします。➡ 【こちら】 で、お求めいただけます。

コモンズ投信を設立した2008年には「ESG」という言葉が現れてから数年経っていましたが、2009年1月に設定したコモンズ30ファンドを一回も「ESGファンド」と表現したことありません。ただ、30年という「世代を超える投資」は企業の持続可能な価値創造が要となるので、ESG投資の精神は共有していると思っていました。E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス=経営の有り方)は、企業の持続可能な価値創造には不可欠ですから。

その私たちがコモンズ30ファンドの運用にあたって、設定来から大切にしてきた価値判断基準である「見える価値」「見えない価値」が、ハーバード・ビジネス・レビューで取り上げられるとは、本当に感無量です! 12年~13年前に創業メンバー同士でファンド構想の議論を重ねていた、あの当時の熱量は間違っていなかったのです。当時は小さな光でありましたが、それが現在では世の中の資本市場の考え方の真ん中で輝いています。

設立当時では「6つの軸」として表現していましたが、それが「収益力」「競争力」「経営力」「対話力」「企業文化」の5つの「軸」に集約されました。ただ人間は、5つの「軸」=5つの「次元」で実態が把握ずらいので、私は5つの「層」という表現を使っています。一番上の「層」が「収益率」であり、これは誰でも「見える価値」です。数値化できている価値ですから。

一番「上」のポジションですが、実は財務的の「見える価値」とは企業の過去の取り組みが成果(数字)として表れていることになります。過去の経緯を把握することは不可欠ですが、長期投資家に大事なことは「いままで」ではなくて、「これから」です。

その「これから」の可能性は、企業の非財務的な「見えない価値」に潜んでいるのです。そして、「層」として考えると「競争力」➡「経営力」➡「対話力」➡「企業文化」と深層へと進めば進むほど、正確な数値化が難しくなってくる構造で表現できます。

要は、一番上の「収益力」とは氷山の一角に過ぎないのです。これからの企業の価値創造とは、海面下に沈んでいる「見えない価値」から生じるのです。その「見えない価値」を的確に分析するこそが長期投資家の醍醐味であり、その「見えない価値」の可視化こそが企業のESG経営の実践であると言えるでしょう。

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