原点との共振、そして未来への水平展開 〜ユニ・チャームで見つけた、ひとと社会を豊かにする熱意~(その1【共振館見学編】)〜

2026年3月20日、私たちはコモンズ投信のお仲間(お客さま)の皆さんと、愛媛県四国中央市(旧川之江市)にあるユニ・チャームの研修施設「共振館」を見学しました。

2回に分けてお伝えします。

(1回)原点との共振、そして未来への水平展開 〜ユニ・チャームで見つけた、ひとと社会を豊かにする熱意~(その1【共振館見学編】)〜  ←今回

(2回)原点との共振、そして未来への水平展開 〜ユニ・チャームで見つけた、ひとと社会を豊かにする熱意(その2【RefFプロジェクト編】)~

■ 創業者の想いに触れる

うぬぼれ、おごり、甘え、マンネリ。

共振館に掲げられていた、ユニ・チャーム創業者である高原慶一朗氏が戒めとした、この「4つの心の病」の言葉を目にした瞬間、私の背筋がスッと伸びました。

ユニ・チャーム共振館

共振館は、単なる研修施設ではありません。
文字通り、共振館を訪れた人の心が共に響き合う(共振する)ことを目的とした、創業者の想いを「全身で感じて、持ち帰る」ための場所なのです。

■ 世界中から届くお客さまの声を活かす

館内に入って、最初に目に飛び込んできたもの。それは、お客さまから寄せられた数え切れないほどの手紙でした。

直筆の手紙、e-mail、海外からも届いたたくさんのメッセージは、ユニ・チャームと世界中の人々との繋がりの証です。一通の手紙に込められた物語を知ることで、ユニ・チャームが人々の暮らしといかに真剣に向き合ってきたのかを、実感することができました。

ユニ・チャームには、アドバイザーと呼ばれるお客さま対応の専門職がいます。そして、お客さまから寄せられた声は一元管理され、商品開発などに直接活用されています。お客さまに寄り添い、お客さまの声を何よりも大切にするこの仕組みは、世界中の拠点で展開されているそうです。

■ 建材から生理用品へ劇的な事業転換

1961年の会社設立時、映画館だった建物を買い取り、改修して工場にしたのが出発点でした。当時は、現在のような日用品ではなく、建材(木毛セメント板)を製造する会社でした。
「社会が必要とする製品を世に出す会社に化ける」という意味を込めて、「大成化工」という社名でスタートしました。

しかし、建材はBtoB事業であるため顧客の顔が見えません。プライスリーダーにもなれず、自社のブランドを構築しにくいとことが分かってきました。

建材事業の限界に直面していたとき、創業者の目を引いたのは、アメリカ視察で目にした現地の女性たちの生活でした。
当時の日本では生理用ナプキンなどの衛生用品は、薬局の奥で隠れるように売られていました。しかし、アメリカでは身近な日用品として広く普及しており、女性の社会進出を支えているという現実を目の当たりにして、衝撃を受けたのだそうです。

「建材のように顧客の顔が見えないものではなく、生理用品のような最終商品を作りたい。
生理用品を陰から陽に変えていく。それを自分がやるんだ。ひとの不快を解消する日用品を作ろう。」

そう決意した創業者は創業からわずか2年後、豊富な水資源に恵まれ、製紙業が盛んな川之江の地の利を活かし、ナプキン製造の分野へ思い切って舵を切ったのです。

いままでの事業と全く異なる、新しい分野への挑戦ですが、「変化を恐れず、新しい価値を生み出す」という創業者の柔軟な発想が、今のユニ・チャームにも受け継がれていると感じました。

駅前アーケードには「紙のまち 川之江」の看板

■ 飽くなき技術革新と共振の連鎖

その後、1981年頃に吸収体の素材をパルプから不織布へと大きく転換させるなど、時代の変化と消費者のニーズに合わせて、製品開発を続けてきました。

ナプキン製造で培われた吸収体技術や包装技術は、「共振の連鎖」として新たな価値を生み出していきます。1981年にベビー用紙おむつを発売、1987年には寝たきりゼロを目指して大人用排泄ケア製品の取扱いを開始、そしてペットケア用品へと展開していきました。

しかし、ユニ・チャームが企業としてどれだけ大きく成長しても、変わらないものがあります。
それは、「経営と和の精神」です。

地域に貢献し、地域がよくなることを第一に考える。企業は社会の一部であり、社会を豊かにしてこそ、自らの存在意義があるという哲学が、共振館の隅々に満ちていました。

■ 現場主義と情熱が紡ぐ未来

共振館には、「メモ魔」として

知られた創業者が残した何百冊にも及ぶノートが展示されていました。

「ほんとうにメモが必要なのは、『ちょっとしたこと』なのである。そのとき大事だとは思わなかったが、あとで大事だと思えてくる。」

創業者である高原慶一朗氏は、「会うひと皆師匠」という姿勢で常にノートを手放さず、日々の気づきや学んだことから他者の意見まで、細かく書き留めていたそうです。文字がぎっしり詰まったノートには、決して驕ることなく、現場の現実から学び続けようとする情熱で溢れていました。

特に私の心に深く刺さったのは、「うぬぼれ、おごり、甘え、マンネリ」を常に戒め、頭で考えるだけでなく、現場に立ち、現実を直視するという徹底した現場主義です。

創業者の精神は、現在のユニ・チャームで展開されている独自の経営効率改善活動「UTMSS(ユニ・チャーム・トータル・マネジメント・ストラテジック・システム)」にも、脈々と受け継がれています。私は、創業者から受け継ぐこの真摯な姿勢こそが、ユニ・チャームが新しい価値を生み出し続けている原点なのだと、感動を覚えました。

私が共振館で感じたのは、世界でトップを目指し続けるグローバル企業でありながらも、「原点」と「創業者精神」を決して忘れず、私たちの暮らしを支える製品づくりへの誠実さと、社会課題に真正面から立ち向かう圧倒的な熱意でした。

代表取締役 社長執行役員 高原豪久さんと記念写真
掛け声は「ユニ・チャームNo.1」