PBRを指標とした投資は長期投資でこそ安心、安全

投信での資産づくりをメインにしつつ、株式投資のこともちゃんと理解したい人向けコラム

「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」


前回は日経平均の採用銘柄全体で「PBRが1倍を下回ると割安、1倍を上回れば割高」というお話をしました。今回は個別銘柄でのお話をします。指数でみると、マーケット全体が今、割安な位置にあるのか、割高な位置にあるのか、概ねみることができますが、個別銘柄でみると、いっそうそれを簡単に確認することができます。

「PBR=時価総額(株価×総発行株式数)÷純資産(自己資本)」です。
PBRの計算に使う自己資本は、その企業が年度末に発表する本決算のものを使います。国内の上場企業の多くは3月が決算月ですが、その場合3月末時点の自己資本を使うことになります。時価総額は株価と連動して日々変動しますから、実際の計算は、
(その日の)株価×総発行株式数」になります。

さて、この数字をもとに実際の投資でどう役立てるか。
PBRを使った投資は、PBRが1倍を下回っている「割安」と思われる水準で買って、基準となる1倍に戻った時点で売るという投資行動が基本となります。
純資産は、最終的に株主のものですから、必ず返ってくるお金になります。それを、PBRが1倍を下回ったディスカウントの状況で買うわけですから、投資としては保守的な、比較的安全な投資手法といえます。

ただし、PBRで投資成果を期待する場合は時間を味方につける必要があります。投資期間でいえば、数日、数か月の短期や中期の投資ではなく、2~3年、もしくは10年を超えるよう長期での投資を考える場合に有効と思われます。
マーケット全体が上がっているとき、多くの銘柄の株価がどんどん上がっていくのに、割安と思って買ったPBR1倍割れの自分の株は全く上がらない・・・。「えい、もう売っちゃえ!」って我慢できずに損を出してまで売って他の株に乗り換える。結局その株は高値掴みでまた損が出てしまう。その後によく見てみたら、売ってしまった株が上がってきた・・・。こういったことってよく聞く話です。

PBRでの割安株投資は、そもそもが、PBR1倍割れの割安と思われる水準が、1倍となる適正な水準に戻ることを期待する投資ですから、株価の勢いで判断するものではないはずです。
一番大切なことは「純資産」をみることです。

前回で、「純資産」は、株主が出資した「資本金」と「資本剰余金」、そして、その企業が稼いだ「利益剰余金」に分けられますというお話をしました。企業は、毎年度、事業活動をして利益を得ます。その利益はほかならぬ株主のものです。ということは、毎年、企業が利益を出して「純資産」が増えれば、それだけ株主のお金も増えます。毎年、貯蓄をしているようなものです。だからこそ、2~3年、もしくは10年を超えるよう長期での投資を考える場合に有効だというお話を最初にしたわけです。PBRでの投資は、マーケットで株価が上がって、PBRの水準訂正を期待するというよりも、毎年、企業が稼いだお金を貯蓄するといった考え方での投資がいいと思っています。

ただし、純資産を見る場合、チェックをしなければならない数字があります。
企業から毎年度に出される財務諸表には貸借対照表のほかに、損益計算書というものがあります。その損益計算書にある最終的な「純利益」をしっかりとみることが大事です。これが、黒字なのか、赤字なのか。黒字ならば「純資産」は増えますから株主の貯蓄も増えますが、赤字ならば貯蓄を取り崩して減ることになります。

もう一つチェックするとすれば、「負債」のところで、借金が増えていないかどうか。借金は将来的に返済しなければならないお金ですから、最終的な株主の取り分は減ることになります。借金は少ないに越したことはない、無借金なら尚よしというところでしょうか。
トレーダーふっちーは、こういった収益面と財務面でよい状態を維持している、PBRで割安な株式に長期で投資することが、株式投資で安全に利益を出すよい投資手法だと思っています。

そうそう、それともう一つ。前回PBRが長い間、1倍割れに株価が放置された万年割安株があるので注意したいですというお話をしました。 <次のページへ続く>

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