「日経平均3万円回復」はただの通過点―投資は夢があるからこそ長期で続けることができる

投信での資産づくりをメインにしつつ、株式投資のこともちゃんと理解したい人向けコラム

「トレーダーふっちー流の投資指標の見方」


2021年2月に入って急伸を始めた日経平均は、あれよあれよという間に月半ばの15日に3万円の大台乗せ。

翌日の日経新聞1面の大見出しは「日経平均3万円回復」日本企業の稼ぐ力はバブル崩壊後の長期低迷を経て底上げされたと。
一方で
ページをめくっ3面には、3万円回復、課題なお」株高の恩恵は個人には広がっておらず、また、日本企業の鈍い新陳代謝も気がかり。急激な株高の背景は、新型コロナウイルス対応の金融・財政政策で押し上げられている面大きいとも。なるほどイケイケの強気一辺倒というわけにはいかないか・・・。 

そんな歴史的な出来事があった以降、2月末までの日経平均はというと3万円を挟んで往ったり来たり気迷い相場3万円台の上の方では利益確定の売り。
3万円を割り込めばすかさずの押し目買い。そうこうしているうちに、2月最終日は、「日経平均1202円安世界的な金利上昇に動揺」で3万円を大きく割り込んだ。
金融緩和と低金利を前提としてきた世界的な株高の環境が変わるとの懸念が広がったの見方 

日経新聞の「スクランブル」に興味深い記事がありました。
若者マネーじわり頭角、高齢層は手じまい売り。内容は「株価の上昇とともに、株式市場では個人投資家の世代交代が進む兆しが出てきた。
若年層はデジタルトランスフォーメーション(
DX)などのテーマ株を積極的に購入する一方、高齢層は株高で含み損が縮小してきた重厚長大銘柄の保有株を売却し、市場から撤退する動きをみせる」となるほど、そういう動きなんだ 

時を30年前に戻します。平成バブルのすっ天井となった日経平均の38,915円、その当時、トレーダーふっちーは証券会社の、まだ怖いもの知らずイケイケトレーダーだったのですが、その瞬間にも立ち会いました。その後は急転直下急落の日々。
毎日のポジション表を見る度に、胃が痛い思いをしたのを思い出します。
そんなことを思い出せば正直なところ「よくここまで戻ったな」です。

(出所)QUICKデータよりコモンズ投信作成

 

3万円を超えたとはいえ、日経平均のチャートをみると、38,915円のあの頂はその先っぽが尖っているだけに、なおさら高く見えてしまうわけですやれやれの戻り売りが出ても不思議じゃないと思うのが正直なところです。ましてや、ここからさらに買うなんて、「やっぱ勇気いるよな」です。
そんなことを考ええていると、このところの日経平均の値動きの荒っさも頷けるところです。 

でも、そんなことを言ってたって、日々、マーケットはあるわけです。持ってる株だってある、投資信託だってある、
さてこれからどうするかが問題です。思いをめぐらせた結果、トレーダーふっちーは勇気と、そして希望をもって買いですここから下がれば安くも買えるし、さらに上がっても少しでもいいから買い乗せ。ゆっくりと、なが――くです。 

なぜそう思ったか。そこにあるのは、魅力的な会社や夢のある会社の株価はきっと将来に上昇するはずと思っているからです。
日経平均という225銘柄の集合体でマーケットをみて、売りだ、買いだと判断するから迷ってしまいます自分が魅力的な会社、夢のある会社に投資をすればそういうこともない思うのです。
日経平均という指数は、マーケット全体の水準を見るにはいいと思うのですが、実際の投資となると別物と考えるべきではないか、と 

過去30年を振り返ってみましょう。 

グラフは、日経平均が平成バブルの高値を付けて以降、今から30年半前の1990年7月に日経平均が3万円だった時を100として、
その後の、2000年4月のITバブルの高値(青)、リーマンショック前の2007年6月のBRICs相場の高値(グレー)と、
今回3万円を回復した2021年2月の高値(赤)を指数化
した業種のグラフです。 

上のグラフは、2021年2月の高値(赤)での騰落率上位の10業種。下のグラフは騰落率下位の10業種です。

(出所)QUICKデータよりコモンズ投信作成
(出所)QUICKデータよりコモンズ投信作成

30年半前に日経平均が3万円だった時と比べると、上位10業種で、精密機器は397と約4倍、医薬品は269で2倍半とちょっと情報通信は186、輸送用機器は185とあと少しで2倍です。
精密機器医薬品はその間の景気変動や株価のショック安にも左右されず、着実にグローバルでの競争力を高めて収益を伸ばしてきた結果と思われますし、輸送用機器も米国や中国などの新規市場開拓でシェアを拡大してきた結果と思っています。
情報通信や電気機器は、2000年4月のITバブルに高値を付けたときに、100を超えて10年前の1990年7月の水準を上回ったのですが、ITバブルの崩壊後は世界的な競争激化や円高の影響で低迷しました。ただ、今回の日経平均3万円台乗せの局面では、半導体や電子部品関連の企業が牽引役となり、ITバブル期をさらに大きく上回る復活劇を果たしています。

一方の下位10業種をみてみましょう。平成バブルの時に高値をつけた銀行業が13と約10分の1、証券業は29とこれも約3分の1。低金利と金利・手数料の自由化で収益回復に苦しむ中、さらにはリーマンショックもあって低迷したままです。
また海運が27、鉄鋼が24と約3割の水準ですが、「資源バブル」とも言われた2007年6月のBRICs相場の高値のときは、17年前の日経平均が3万円の時の水準を大きく上回りました。
ただ、これもリーマンショック後の資源価格の低迷から収益回復が見込めないまま株価も低迷したままです。ましてや空運は6と、10分の1に満たない水準で、リーマンショックと新型コロナ感染拡大の影響を大きく受けて旅客収入が伸びないまま厳しい状況が続いています。

こうやって過去30年間の動きをみるだけでも、業種別にかなりの跛行色があることがわかります。ましてや個別の株式となるとさらに大きな差が出てくるのは歴然としています。
そういった投資環境の変化をみると、先の「若者マネーじわり頭角、高齢層は手じまい売り」の投資行動もなるほどそうなのかと思えるわけです。

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