PBRが長い間、1倍割れに株価が放置された万年割安株。
企業の利益の伸びが小さく、「純資産」がなかなか増えないということもありますが、貸借対照表の左側の「総資産」もポイントの一つとして見ておく必要がありそうです。
業種でいえば、鉱業や石油石炭、鉄鋼や卸売(総合商社)、それと銀行や保険、証券などです。

鉱業や石油石炭、鉄鋼や卸売(総合商社)などは資源価格の変動で最終的な利益がぶれやすい傾向があるため業績の予想が難しいこともありますが、こういった業種は海外で取得した権益が、資源価格の下落で思わぬ減損を強いられ特別損失を計上することもあることが懸念要因です。また、銀行や保険、証券などの金融機関はさまざまの規制があって収益が上がりづらいということがあります。また現在のような低金利が長く続くような状況では、銀行もなかなか利ザヤが稼げず、また投資業務でもリスクを取ることは難しくなります。ましてや、貸したお金が返ってこないとなると貸倒引当金を積んでいても実際の損失になる場合もあるので注意が必要です。

こういった、収益面、財務面で不安定な状態にある企業は、PBRが1倍を下回って割安とみられていても、単純に投資をしていいのかどうか迷うところです。

ということで、PBRを指標とした投資についてお話をしてきました。PBRでの投資は、PBRをみて、その企業の株価が、割安なのか割高なのかを判断する比較的容易です。しかし、その企業の「純資産」と「総資産」をしっかりみることがとても重要です。そして、何よりも大切なのは、毎年、企業が利益をだして、最終的に株主のお金が増えることを前提に長期で投資をすることが重要だとトレーダーふっちーはPBRという指標を考えています。

次回からは、ROE(自己資本利益率)のお話をしたいと思っています。ROEは自己資本に対してどれだけの利益が出ているかを示す指標で、ROE=純利益÷純資産(自己資本)となります。「純利益」と「純資産」、どっかで使ったな? そうです、PERとPBRを計算するときに使いましたが、計算式をひっくり返していくとROE=PBR÷PERになります。そのところの関係も含めてお話をしていきたいと思います。

余談ですが、たまたま今朝(12月4日)の日経電子版に「四面楚歌のメガバンク、コロナ禍直撃で地方銀行は落城の危機 日本の論点2021」という記事がありました。
PBRでの投資について、併せて読むとわかりやすいかもしれません。
では。

前の記事 | 「トレーダーふっちー流」の投資指標の見方 | 次の記事

トレーディング部/部長
渕上 幸男Yukio Fuchigami

国内証券会社で営業職4年。外資系証券会社に転じ委託取引や自己取引のセルサイド・トレーダーとして10年。国内投信委託会社に転じ、証券会社への売買発注にともなうバイサイド・トレーダーとして3年。その後、国内証券会社や株式投資情報会社でヘッジファンド調査や株式市場調査に従事。2015年10月にコモンズ投信に入社。

最新情報をチェックしよう!