スチュワードシップ・コード

コモンズ投信は、私たちの設立理念の実現性を再確認する大切な機会として、スチュワードシップ・コードを策定し、ここに公表いたします。言語であるスチュワード「執事」が示すように、運用会社は「主人」である投資家に忠実に仕えるべき存在です。一方、「コード」とは受動的に従う詳細なルール(規則)ではなく、能動的に実行する包括なプリンシプル(原則)です。つまり、スチュワードシップ・コードとは運用会社が掲げる理念を主体的に実践する役職員の日々の考えと行動を支える行動指針です。つきましては、私たちは責任ある機関投資家として適切に受託者責任を果たすため、≪日本版スチュワードシップ・コード≫を受入れ、ここに表明いたします。

なお、当社は、2014年8月26日に「コモンズ投信のスチュワードシップ・コード~責任ある機関投資家の諸原則~」を表明し、スチュワードシップ活動に取り組んでまいりました。それから2017年5月29日の改訂、2020年3月24日の再改訂された「日本版スチュワードシップ・コード」に基づき、新たに改定した内容を加え、下記に公表し積極的に取り組んで参ります。

2014年8月26日(2017年11月30日改訂、2020年9月30日再改訂)

原則1 スチュワードシップ・コードの基本方針

私たちは、お客さまから託された長期投資への期待である「今日よりも、よい明日」というビジョンの実現を目指します。長期的、且つ、健全な資産運用により、投資先企業の持続的な価値創造を共に育む協働によって、成果の恩恵をお客さまへ還元する義務を果たせると考えています。

▶︎私たちは、スチュワードシップ責任を2017年6月30日に宣言した『お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)』の中で、「私たちが考える、お客さまの最善の利益の追求」において重要な取り組みとして位置づけ取り組んでいます。
(参考)コモンズ投信の「お客さま本位の業務運営」の実現について
▶︎また、その「私たちが考える、お客さまの最善の利益の追求」において、「私たちは、お客さまの長期的な資産形成のために、企業との対話にも積極的に取り組みます。」と宣言し、以下の考えを表明しています。
~私たちは、創業以来、長期投資家として中長期的な企業価値の向上に貢献するために“企業との対話”を重視してきました。さらに、実質的なアセットオーナーであり消費者でもあるお客さまと企業との対話も実践しています。各種ステークホルダーによる外部からの視点の提供が企業価値の向上につながり、その果実がお客さまに還元されていくインベストメントチェーンの高度化に積極的に取り組みます。また、同様の観点から議決権行使も中長期的な企業価値の向上を目的に、適切に行使し、その結果は個別に開示してまいります。~

原則2 利益相反の阻止および対応

私たちは、お客さまから託された資産の長期的で健全な運用を最優先します。利益相反の疑いが発生したと判断した場合は、運用報告会などを通じてただちにお客さまとの対話の場を設け、疑念を晴らすことに務めます。対話を通じても疑念を晴らすことが出来ないと判断した場合は、今年度内に設置予定の『フィデューシャリー・デューティー推進委員会(外部有識者を加えて構成される)』に、最終判断を要請いたします。さらに、設置された『フィデューシャリー・デューティー推進委員会』は定期的なモニターを続けます。なお、コモンズ投信株式会社の万全な経営基盤の構築と成長戦略を実現するために、現在、議決権がない種類株式を含め上場会社6社に株主(※)になっていただいています。勿論、株主であることを理由に投資先に組み入れることはありませんし、議決権の行使についても中立性を担保した議決権行使の指図を行うものとします。

▶︎当社において想定し得る利益相反の局面は、資本関係のある投資先の議決権行使を特定しています。現在、資本関係のある投資先については、中立性を鑑み、議決権行使を放棄することとしています。 ▶︎当社は、2017年4月にESG最高責任者を設置し、自らの運用機関としてのガバナンスの強化にも取り組んでいます。 (※)法的な開示義務に基づき株主上位3名を公表しています。6社の上場会社の中ではベネッセホールディングスが対象となります。また、2015年10月には静岡銀行との資本業務提携を発表しています。株主構成の詳細は有価証券報告書をご覧下さい。

原則3 投資先企業の持続的な価値創造の「見える化」

私たちは、投資先企業の持続的な価値創造の「見える化」を促進することは、お客さまに対する大切な義務であると考えます。そのため、集中投資にこだわり、厳選された投資ポートフォリオの一社一社の財務的・非財務的な価値を多方面から分析するために、説明会、個別面談、さらには企業とお客さまの直接的接点を設けるセミナーなど様々な手段を通じて丹念にモニタリングいたします。特に、当社では企業の非財務情報を「見えない価値」と呼び、その価値の分析を行うために「対話」を重視する姿勢を貫いています。

原則4 投資先企業との「目的を持った対話」

私たちは、建設的な「対話」を通じて企業の持続的な価値創造を支えることを目的の一つに起業した運用会社です。私たちの主な顧客層は長期投資に理解がある一般個人と法人です。特に一般個人は、企業にとって、役職員、最終消費者、株主として企業の持続的な価値創造に関わる極めて重要なステークホルダーです。私たちは一般個人と企業との接点をつくることで新たな課題を認識し、そのうえで、企業に対してさまざまな伝達手段を通じて改善の提案まで行います。即ち、ステークホルダー、企業、コモンズ投信の相互的な価値創造につながる「対話」を促すことに務めます。

▶︎私たちは、2016年11月に、投資先企業のみを対象に合同で企業価値の中長期的な成長を考える研究会「企業価値研究会」を発足させ、共通の課題を議論する場として年間3回の研究会を開催しています。 ▶︎他の機関投資家と協働して対話を行う(集団的エンゲージメント)については、共通する課題について共同保有者の考えや守秘義務を考慮したうえで、取り組んでいきたいと考えています。

原則5 議決権行使と結果の公表

私たちは、企業の短期的な実績より持続的な価値創造の観点から議決権の行使を判断しています。特に重視する項目はマネジメント体制(社外取締役への取り組み方針を含む)、事業の成長性に応じた株主還元等がありますが、これに限ることはありません。企業が提案する議案に賛成しかねる場合には、その旨を経営者およびIR担当者へしっかりと説明することで企業との対話に務めています。
なお、議決権行使の基本方針および結果については、ウェブサイトに掲載し、適切に公表いたします。

▶︎私たちの考える議決権行使の考え方は以下の通りです。
~当社は、中長期的な資産形成を期待する投資家の資金を、中長期で企業価値向上を目指す企業に投資することで、投資の果実を還元していく資金循環(=経済のインベストメント・チェーン)の最適化に取り組んでいます。また、その取り組みにおいては、対投資家、対企業さらには投資家と企業との直接対話の機会の創出など、「対話」を重要な手段として位置付けています。
議決権行使は、こうした対話を通じた中で積み上げてきた知見をベースに、それぞれの企業ごとに「中長期的な企業価値向上につながるのか」、「投資家の中長期的な資産形成につながるのか」を予断なく判断して行使していきます。また、当該議案に課題があった場合には、行使前、行使後もその課題に対する対話を進めて参ります。~
▶︎私たちの議決権行使の意志決定プロセス及びガイドラインの目安はこちらをご覧ください。

原則6 お客さま(受益者)への報告

私たちは、スチュワードシップ・コードの実践および運用実績について、お客さま向けに月次運用報告、メルマガ、セミナーなどコミュニケーションツールを用いて定期的に報告いたします。特に重要であると判断した事項は、適切にお客さまと共有し、積極的な対話に努めます。

▶︎議決権行使の結果報告については、当社ウェブサイトで毎年報告をしていますが、2017年度より議決権行使結果の個別開示も反対議案についてのみ開示いたします。

原則7 実力を備えた実践

私たちは、企業の持続的な価値創造についての理解を常に深めていくことが、お客さまの長期的で健全な資産運用の期待に応えられる要であると考えます。企業との対話、お客さまとの対話、そして、企業とお客さまとの対話を促す相互的な対話の実力を常に備えます。その対話力の実践が、私たちのお客さまと企業の持続的な価値創造を支えます。その価値を顧客へ還元することが、私たちコモンズ投信の存在意義であると考え、役職員一同、日々邁進して参ります。